不整脈

PAC多発・PAC連発があり、かつCHA2DS2−VAScが高値なら、脳梗塞のリスクはAFと同等

Excessive Atrial Ectopy and Short Atrial Runs Increase the Risk of Stroke Beyond Incident Atrial Fibrillation.
J Am Coll Cardiol. 2015 Jul 21;66(3):232-41

《要約》
背景
虚血性脳梗塞の約30%は、原因がわからない。心房期外収縮(PAC)の増加は心房細動のリスクを増大させるが、PACが増加した患者の脳梗塞リスクは明らかではない。

目標
PACの多発やショートランが脳梗塞のリスクになるか検証した。

方法
コペンハーゲンホルター研究の15年間のフォローアップで、心血管疾患・脳梗塞・心房細動の既往がない55−75歳の患者678例が対象である。Excessive supraventricular ectopic activity(ESVEA)とは、1分間に30回以上のPAC、または20回以上のPACショートランと定義した。

結果
99例のESVEAを認めた。baselineのリスク因子で調整した後も、AFになった症例を除いた場合にはESVEAは虚血性脳梗塞と関連があった(HR1.96、 95%CI:1.10-3.49)。ESVEAを認め脳梗塞を発症した症例のうち、14.3%が脳梗塞の発症前にAFを認めた。ESVEAを認めCHA2DS2−VAScスコアが2点以上であった症例では、脳梗塞の発症率は2.4%/年であり、AFと同等のリスクであった。ESVEAは日による違いはなく一貫した所見であった。

結論
ESVEAは中高年において虚血性脳梗塞のリスクを増大させた。ESVEAを認める症例では、AFより先に脳梗塞を発症することが多い。

◯論文のPECOはなにか
P:55−75歳のコペンハーゲンの住民
E/C:48時間ホルター心電図検査にて、1分間に30回以上のPAC、またはPAC20回以上のショートラン
O:虚血性脳梗塞

inclusion criteria:心血管リスク因子・内服薬・既往歴などの質問票に答えた者、質問票のリスク因子を0−1有する者の60%、質問票のリスク因子を2つ以上有する者すべて
exclusion criteria:心房細動、発作性心房細動、虚血性心疾患、うっ血性心不全、弁膜症、先天性心疾患、今日師匠、脳梗塞、悪性腫瘍、その他生命を脅かす疾患

◯結果
デザイン:前向きコホート研究
登録期間:1998年4月〜2000年6月
フォローアップ期間:2013年までの最大15年
地域:コペンハーゲン(デンマーク)
症例数:678例
脱落:なし
outcome観察者のmasking:レジストリデータより抽出(maskingの有無は記載がないが、虚血性脳梗塞はCTもしくはMRIにて診断するため、影響は少ないだろう)
交絡因子の調整:Cox比例ハザードモデル

result

◯感想/批判的吟味
多発するPACはAFとも関連があるし、脳梗塞を起こす可能性も高くなる。ただ単に、AFがcuptureされていないだけかもしれないが、CHA2DS2−VAScスコア2点以上では、ESVEAはAFと同等の脳梗塞リスクがある。ただ、CHA2DS2−VAScが高いESVEAに抗凝固療法を行うかどうべきかは、さらなる検証が必要だろう。