Everolimus-Eluting Bioresorbable Scaffolds for Coronary Artery Disease.
N Engl J Med. 2015 Oct 12. [Epub ahead of print]
ベアメタルステント(BMS)や第一世代薬剤溶出性ステント(DES)に比べ、第二世代DESは臨床的アウトカムが改善した。しかし、ポリマーや金属による炎症の持続、血管の屈曲や運動が損なわれること、stent fracture, neoatherosclerosisなどの問題はある。生体吸収性スキャフォールドにより、これらの問題が解消されるかもしれない。
◯この論文のPICOはなにか
P:冠動脈疾患患者(1枝もしくは2枝病変)
I:生体吸収性スキャフォールドの使用(Absorb群)
C:薬剤溶出性ステントの使用(DES群)
O:心臓死、標的血管心筋梗塞、標的病変の虚血による血行再建の複合エンドポイント
inclusion criteria:18歳以上、病変長24mmまで、病変のreferenceの血管径2.5−3.75mm
exclusion criteria:AMI、複雑な病変
手技:前拡張を行い、BVSもしくはDESを留置する。留置後は高圧バルーンで後拡張を行う。BVSの後拡張はスキャフォールドの径より0.5mm以上大きなものを使用しない。DAPTは1年間続ける。
◯ランダム化されているか
病変は前拡張を行いそれに成功した症例を、Voice-response systemによりランダム化する。
◯baselineは同等か
同等。以下ざっくりと。
年齢63歳、男性70%、DM32%、腎不全10%、不安定狭心症25%、LAD44%、referenceの血管径2.6mm、最小血管径0.9mm、病変長13mm
◯症例数は十分か
非劣性の検証を行い非劣性であれば、優越性の検証を行うこととしている。非劣性マージン4.5%(BMSと比較した場合のDESの効果の90%信頼区間を求め、その下限値の50%としている)、Outcomeの発生7%、power96%、αlevel0.05、フォローアップ不能5%とし、必要症例数は2000例と算出している。BVS群1322例、DES群686例(2:1の割り付け)の計2008例がランダム化されている。
◯盲検化されているか
患者のみ盲検化されている。
◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
イベントが起こらずにフォローアップが不能になった症例を除く、すべての症例を解析に含めている。割り付け通り治療が行われたのは、BVS群94%、DES群99%であった。
◯結果
BVS群 vs DES群、相対リスク
primary endpoint:7.8% vs 6.1%、1.28(0.90-1.82)
心臓死:0.6% vs 0.1%、4.12(0.53-32.91)
標的血管心筋梗塞:6.0% vs 4.6%、1.31(0.88-1.97)
標的病変の虚血による血行再建:3.0% vs 2.5%、1.21(0.69-2.12)
acute gainはDESで得られやすい(1.45mm vs 1.59mm)。
◯感想/批判的吟味
・企業(Abbot Vascular社)がスポンサーで、解析にも関与している。
・FDAの勧告通り非劣性マージンの設定を行っているが、その値が臨床的に適切なのか難しい。
・VLST、neoatherosclerosisなどはやはり長期的なデータが必要。