A prospective natural-history study of coronary atherosclerosis.
N Engl J Med. 2011;364:226-35
冠動脈疾患患者の予後を調べた前向きコホート研究。
◯この論文のPICOはなにか
P:ACSのためPCIが施行され、残存病変に対しPCIが成功した冠動脈疾患患者
I:経過観察
C:なし
O:心臓死、心停止、心筋梗塞、不安定狭心症もしくは狭心症の増悪による入院の複合エンドポイント
IVUSは、左冠動脈主幹部と主要心外膜冠動脈の近位部6−8cmを観察。
◯観察期間はどれくらいか
中央値3.4年で、outcomeを見るには十分な観察期間と考えられる。
◯結果に影響を及ぼすほどの脱落があるか
記載なし。480/697−132=85%?
◯outcomeの観察者が危険因子についてmaskingされているか
outcome評価者はmaskingされている(information biasは入りにくい)。
◯交絡因子の調整が行われてるか
◯結果
baselineのcharacterは、ざっくりと以下の通り。
年齢58歳、糖尿病17%、OMI10%、LDL93mg/dl、HDL38mg/dl、1枝病変21%、2枝病変40%、3枝病変38%、DESの使用66%
心臓死、心停止、心筋梗塞は3年で5%に起きている。心筋梗塞の1/3は非責任病変で発生している。
非責任病変での心筋梗塞の予測因子としては、plaque burden(PB)≧70%、thin cap fibroatheroma(TCFA), minimum lumen area(MLA)≦4.0mm2があげられる。とくにTCFAとPB≧70%の両方がみられる場合には、Hazard ratioは約10倍になる。
◯批判的吟味/感想
対象となっている患者は、一般的なACSの患者と思われる。その患者群で、3年間での心臓突然死、心停止、心筋梗塞が5%にみられている。3年間で発生した心筋梗塞のうち、1/3は非責任病変で起こったものである。非責任病変でTCFAやPB≧70%がみられた症例では、心筋梗塞を起こす可能性が高くなる。