When Should Aspirin Be Used for Prevention of Cardiovascular Events?
JAMA2014;23;2503-2504
ISIS2試験では、急性心筋梗塞患者(AMI)へのアスピリンの内服により、血管死が23%減少した。また、急性脳梗塞(ACI)でもアスピリンの有効性は証明され、AMI・ACIの急性期にのみ急性血栓の分解による再灌流目的に使用されていた。
蓄積されたデータにより、アスピリンにより出血のリスクが20%増加するが、それ以上の血管イベント抑制の長期的な効果が示された。心筋梗塞や脳梗塞の一次予防でも有効性があるかの検証は必然であったが、それは多数の症例と長期のフォローアップを必要とした。
1980年代初頭にいくつかの大規模試験がなされ、そこそこの効果があった(12%のリスク減少)。ただ、欧米人より出血リスクが高い傾向にあるアジア人でのデータは不足している。
the Japanese Primary Prevention Project(JPPP)は高血圧、脂質異常症、糖尿病を持った60歳以上の日本人患者に対して、低用量腸溶性アスピリン100mgの内服により、動脈硬化性イベントを抑制効果を調べたものである。
この試験は6.5年のフォローアップが予定されていたが有効性がなかったことから、5年で終了している。動脈硬化性イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的脳梗塞、心血管死)は、アスピリン投与群で2.77%、アスピリン非投与群で2.96%、HR0.94(95%CI:0.77-1.15)と差はなく、欧米人に比べ頭蓋内出血は多かった。
想定よりもイベント発症率が低く、power不足。アスピリンに20%のリスク減少効果があると仮定されていたが、今までのデータ(12%)より高い。非盲検化試験で、追跡不能例が約10%であった。腸溶性アスピリンが使用されている。といった問題点が挙げられる。
さらに、アスピリン非投与群で10%がアスピリンを内服しており、アスピリン群の最終的な内服継続率は76%で、割付通りに治療が行われていない。
低リスクの患者は、一次予防目的の低用量アスピリンを内服すべきでない。高リスクの患者に対しては、40年以上のDM罹患歴のある患者を対象としたASCEND試験、複数の心血管疾患リスクを有する患者を対象としたARRIVE試験、70歳以上を対象としたASPREE試験の3つの試験が進行中である。