Spontaneous Coronary Artery Dissection Associated With Pregnancy
J Am Coll Cardiol. 2017;70(4):426–435.
<デザイン、セッティング>
・Mayo Clinicの多施設レジストリ
・323例(P-SCAD:54例、NP-SCAD:269例)
P-SCAD:妊娠関連冠動脈解離
NP-SCAD:妊娠非関連冠動脈解離
・観察期間:P-SCAD:4.3年、NP-SCAD:2.0年(中央値)
54例中・・・
4例:妊娠中
48例:出産後12週以内(生存可能な新生児)
1例:妊娠初期の流産
1例:36週で死産のあとに
48例のうち、29例が経膣分娩(自然分娩22例、誘発分娩7例)、10例が帝王切開、9例は詳細不明。
70%が出産・死産から1ヶ月以内に、50%が1週間以内にSCADを発症。
<患者背景>
平均年齢35歳。MarfanやEhlers-Danlosなどの結合組織疾患はない。
経産婦がほとんどで、2人以上産んでいる。妊娠高血圧やpreeclampsiaの割合が多いというわけではない。30%で不妊治療が行われていた。初産の年齢が比較的高め。
<clinical presentation>
(本文から引用)
LM病変、多枝病変、STEMIが多い。そのためか、LVEFは悪い。薬物療法が選択されることが多いが、60%で血行再建が試みられている。しかし、PCI不成功が30%と多い。
◇まとめ・感想
P-SCADは、LM病変、多枝病変、STEMIが多く、NP-SCADより重症。不妊治療や妊娠高血圧腎症(preeclampsia)を伴う多胎で多く、発症のタイミングは妊娠中・出産後いつでもありえるが、出産後1ヶ月以内がほとんどで、特に1週間以内が多い。
褥婦の胸痛では、念頭に置いておかないといけない。
5年間の再発率は10%で、全例で別の部位に解離が生じていた。NP-SCADと有意差はないが少なめ。
SCADはPCIを行なっても解離の進展しやすく、PCIは難渋することが多いと言われている。そのためか、40%は薬物療法が選択されている。
このレジストリーでは、PCIの30%が不成功に終わっている。若年であるため、ステント留置のデメリットは考えなければならない。LM病変、多枝病変、太い血管径、長い病変長などでは、CABGまでもっていくことができる状況なら、それも考えないといけないだろう。