重症内科疾患を対象としたRCTで、プラセボと比較しラメルテオンにせん妄の予防効果があることが示されている(せん妄の発生:3%vs32%)(1)。
これは、ICUセッティングでレメルテオンのせん妄予防効果を明らかにした初めてのRCT。
Effect of Administration of Ramelteon, a Melatonin Receptor Agonist, on the Duration of Stay in the ICU: A Single-Center Randomized Placebo-Controlled Trial.
Crit Care Med. 2018 Mar 27. doi: 10.1097/CCM.0000000000003132. [Epub ahead of print]
【PICO】
P:ICUに入室した20歳以上の患者で、入室後48時間以内に経口摂取、もしくはNGtubeからの薬剤の投与ができる患者
I:ラメルテオン8mg内服
C:プラセボ内服
O:ICU滞在日数
exclusion criteria:ラメルテオンもしくはフルボキサミン(ルボックス)を内服している患者
ラメルテオンとプラセボは、プラインドされた状態で毎日20時に内服し、ICUを退室するまで継続する。ICU退室は、1日2回のICU医と主治医のカンファレンスで決定する。せん妄の評価は4時間おきにCAM-ICUに基づき行う。
せん妄に対する薬物治療が必要な場合は、リスペリドン1mg内服、もしくはデクスメデトメジン持続静注(最大0.7μg/kg/hr)のいずれかを行い、速やかなせん妄のコントロールが必要な場合は、ハロペリドール5mgを静注する。せん妄の重症度に応じて、さらにリスペリドン、ハロペリドール、その他の薬剤の投与を行う。
【試験の概要】
デザイン:RCT(患者・医療者・解析者の三重盲検)
地域:日本
登録期間:2015年5月〜2017年4月
観察期間:ICU入室〜退室まで
症例数:88例(ラメルテオン群45例、プラセボ群43例)
解析:ITT解析(割り付けられた薬剤を内服する前に退室・死亡した症例が各群2例ずつあり、それを除いて解析)
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【患者背景】
年齢68歳、APACHEⅡスコア23.9、アルコール多飲5%ぐらい、眠剤の使用10%ちょっと、心不全・AMI20%ちょっと、呼吸不全20%、敗血症25%ぐらい
年齢、APACHEⅡスコア、挿管の有無で層別化されていたので、そこはバランスがとれていたが、男性・認知症・敗血症・アルコール多飲は、ラメルテオン群で多かった。
【結果】
ラメルテオン群 vs プラセボ群
ICU滞在日数
4.56日 vs 5.86日(P=0.028、調整後)
せん妄の発生
24.4% vs 46.5%(P=0.044)
せん妄の期間
0.78日 vs 1.40日(P=0.048)
【まとめと感想】
ラメルテオンにより、ICU滞在日数が短くなり、せん妄の発生やせん妄の期間が短くなる。
ICUセッティングでラメルテオンのせん妄予防効果があるか、pro-MEDIC試験という多施設大規模RCTが現在進行中。
(1)JAMA Psychiatry. 2014;71(4):397.