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痛風の治療は、心血管疾患予防のためにプロベネシドがよい?

日本で使える尿酸降下薬は、尿酸生成抑制薬はアロプリノールとフェブキソスタットの2種類、尿酸排泄促進薬はプロベネシド、ベンズブロマロン、ブコロームの3種類。

先発品の商品名は
アロプリノール:ザイロリック
フェブキソスタット:フェブリク
プロベネシド:ベネシット
ベンズブロマロン:ユリノーム
ブコローム:パラミジン

プロベネシドとベンズブロマロンは、近位尿細管のURAT1に作用し、尿酸の再吸収を抑制することで尿酸排泄を促す。ベンズブロマロンの方が尿酸排泄作用が強い。アロプリノールとフェブキソスタットは、プリン体代謝の最終段階に作用するキサンチンオキシダーゼを阻害し、尿酸の生成を抑える。

尿酸排泄促進薬は尿酸排泄低下型に用いる。尿アルカリ化薬を併用し、尿路結石の既往やCKDG4以上の腎障害には、尿酸促進薬ではなく尿酸産生抑制薬を用いる。尿酸産生過剰型に対しては尿酸生成抑制薬を用いる。

痛風患者では、心筋梗塞、脳梗塞、心不全などの心血管イベントリスクが高いが、これが因果関係なのかどうかはわかっていない。アロプリノールは、EXACT-HF試験で有意差はなかったものの心不全を減少させ、いくつかの観察研究では心血管疾患リスクの減少が示されている。プロベネシドの心血管疾患に対する効果は定かではない

Cardiovascular Risks of Probenecid Versus Allopurinol in Older Patients With Gout.
J Am Coll Cardiol. 2018 Mar 6;71(9):994-1004

【PECO】
P:65歳以上の痛風患者
E/C:プロベネシドとアロプリノール
O:心血管イベント(心筋梗塞、脳梗塞による入院)

secondary endpoint:心筋梗塞、脳梗塞、冠血行再建、心不全、死亡率

inclusion criteria:プロベネシドまたはアロプリノールの新規処方
exclusion criteria:過去1年以内にいずれかの薬剤が処方されている場合、両方の薬剤が処方されている場合、末期腎不全、透析

【デザイン、セッティング】
・メディケアのデータ
・後ろ向きコホート
・38888例(プロベネシド:9722例、アロプリノール:29166例)
・プロペンシティスコアマッチ

【結果】
プロベネシドvsアロプリノール(100人年) As-treated analysis

心筋梗塞・脳梗塞による入院
2.36 vs 2.83 HR:0.80(95%CI:0.69-0.93)

心筋梗塞
1.40 vs 1.64 HR:0.81(95%CI:0.67−0.99)

脳梗塞
0.96 vs 1.27 HR:0.72(0.57−0.90)

全死亡
2.91 vs 3.25 HR:0.87(95%CI:0.76−1.00)

【まとめと感想】
CANTOS試験でIL-1β阻害薬であるカナキヌマブが心筋梗塞を減らしたが、プロベネシドもIL-1βを減らす作用があるかもしれず、そういった抗炎症効果によりアロプリノールより心血管イベントが抑えられたのかもしれない。