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プロトンポンプ阻害薬(PPI)の副作用

Adverse Effects Associated With Proton Pump Inhibitors
AMA Intern Med. 2016;176(2):172-174

Proton Pump Inhibitor Use and the Risk of Chronic Kidney Disease.のエディトリアルです。

プロトンポンプ阻害薬(PPI)の副作用は少ないと考えられ、広く過剰に処方されている。だが、高い質の観察研究によって、以下の有害事象が報告されている。

《腎機能障害》
10439例を13.9年フォローしたARIC試験では、PPI使用者がPPI非使用者と比べ、慢性腎臓病(CKD)のリスクが50%高かった。急性腎障害(AKI)や低マグネシウム血症がCKDを引き起こしているかもしれない。

PPIの使用は、急性間質性腎炎によるAKIの増加と関連している。PPI非使用者に比べ、AKIと急性間質性腎炎のリスクは2.5−3倍である。

《低マグネシウム血症》
低マグネシウム血症は、AKI後の不可逆的な腎機能障害と関連している。低マグネシウム血症が高度になれば、筋力低下、テタニー、痙攣、不整脈、低血圧を引き起こす。2011年にFDAは、長期にPPIを内服している患者の低マグネシウム血症について警告し、PPIを中止しない限りマグネシウムの補充のみでは、血清マグネシウム値は正常化しないと勧告した。9試験、109798例のメタ解析では、PPI使用者は非使用者と比較し、低マグネシウム血症のリスクが40%高かった。

《感染症》
クロストリジウム・ディフィシル感染
PPIにより胃内のpHが上昇し、細菌のコロニゼーションが促進される。PPIの使用によりリスクが74%増大し、再発リスクが2.5倍になる。

肺炎
PPIの使用により市中肺炎のリスクが34%増大し、PPIの使用量増加に伴いリスクは増大する。しかし、院内肺炎との関連はない。しかし、胃・食道疾患を除いた400万例の、プロペンシティスコアを用いた後ろ向きコホート研究では、PPIの使用と市中肺炎による入院に関連はなかった。

《心血管イベント》
PPIとクロピドグレルの代謝が競合する。31の観察研究を含んだメタ解析では、PPIの使用によりクロピドグレルの作用が減弱し、心血管イベントが30%増加することを報告した。しかし、4つのRCTの解析では、クロピドグレルを内服している患者で、オメプラゾールやエソメプラゾールにより心血管イベントは増加しなかった。観察研究を含んだメタ解析は実臨床を反映しており規模も大きいが、RCTでは最小化できる選択バイアスや交絡因子の影響を受ける。この結論はまだ明確ではない。

《骨折》
18つの観察研究、244109例の骨折を含んだメタ解析では、PPIの使用により股関節骨折、脊椎骨折、すべての骨折がそれぞれ、26%、58%、33%増加する。

adverse effects
(本文より引用)