Risk Stratification Using the CHA2DS2-VASc Score in TakotsuboSyndrome: Data From the Takotsubo Italian Network
J Am Heart Assoc. 2017 Sep 14;6(9). pii: e006065. doi: 10.1161/JAHA.117.006065.
◇この論文のPECOは?
P:たこつぼ型心筋症
E/C:CHA2DS2-VAScスコア
O:全死亡、心筋梗塞、脳梗塞
<デザイン、セッティング>
・the Takotsubo Italian Network diagnostic criteriaを満たすものを組み入れ
1)6週間以内に正常化する血管支配に一致しない左室壁運動低下
2)冠動脈に責任病変なし
3)新規の変化するST-T異常、またはLBBB
4)軽度の心筋障害マーカの上昇(CK-MB>50U/L)
5)心筋炎の除外
6)閉経後の女性(任意)
7)先行するストレスイベント(任意)
・CHA2DS2-VAScスコアを3群に分ける
A:≦1点、B:2-3点、C:≧4点
・多施設前向き観察研究
・371例 フォローアップ率95%
・観察期間:26±20ヶ月
・COX比例ハザードモデル
<患者背景>
▶︎患者の割合
A:9%、B:42%、C:49%
▶︎ストレスイベント
A:91%、B:79%、C:68%(P=0.007)
▶︎入院時のLVEF
CがAやBと比較し有意に低いが、差はわずか。
A:0.41±0.10
B:0.40±0.10
C:0.37±0.10
▶︎たこつぼのタイプ
apical、midwall、basel
A:85%、39%、3%
B:61%、36%、4%
C:67%、32%、4%
<結果>
A vs B vs C(%)
▶︎全死亡+心筋梗塞+脳梗塞
6% vs 9% vs 17%(P=0.033)
▶︎全死亡
6% vs 7% vs 17%(P=0.11)
▶︎心筋梗塞
0% vs 1% vs 1%(P=0.808)
▶︎脳梗塞
0% vs 3% vs 2%(P=0.577)
CHA2DS2-VAScスコアは独立した予後因子
オッズ比2.1
◇まとめと感想
CHA2DS2-VAScスコアとたこつぼ型心筋症のLVEFやタイプには、臨床的な関連はほとんどなかったが、CHA2DS2-VAScスコア≦1ではストレスイベントがトリガーになっている割合が多かった。
CHA2DS2-VAScスコア≧4点のたこつぼ型心筋症では、全死亡が有意に多かった。たこつぼ型心筋症の左室壁運動異常は、基本的には数週間で正常化する。なので、それが長期的に強く影響しているとは考えにくいが、なんらかの形で心血管系のイベントにつながるのかもしれない。