虚血性心疾患

生体吸収性ポリマーOrsiroステントと耐久性ポリマーXienceステントの比較 BIOFLOW V試験

Ultrathin, bioresorbable polymer sirolimus-eluting stents versus thin, durable polymer everolimus-eluting stents in patients undergoing coronary revascularisation (BIOFLOW V): a randomised trial.
Lancet. 2017 Aug 26. pii: S0140-6736(17)32249-3. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32249-3. [Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:狭心症、急性冠症候群
I:生体吸収性ポリマーシロリムス溶出性ステント(Orsiro)
C:耐久性ポリマーシロリムス溶出性ステント(Xience)
O:12ヶ月までのTLF(心血管死、標的病変心筋梗塞、虚血による標的病変血行再建)

exclusion criteria:CTO、2.0mm以上の分枝がある分岐部病変、グラフト、DESの再狭窄

◇試験の概要
デザイン:RCT(非劣性試験)
地域:13ヶ国(アジア、ヨーロッパ、イスラエル、北米)
登録期間:2015年5月8日〜2016年3月31日
観察期間:12ヶ月
必要症例数:1334例(イベント数は両群7.0%、非劣性マージン3.85%)
症例数:4772例(Orsiro群、Xience群)
追跡率:94.5%
解析:ITT解析とPP解析
スポンサー:BIOTRONIC社

◇患者背景

(本文から引用)

ISRの要因になる糖尿病、腎不全、ACSを含め、両群に差はない。

病変は、1/4で石灰化あり。typeB2・Cが3/4を占める。

◇結果

(本文から引用)

primary endpointで有意差あり。

Orsiro群 6% vs Xience群 10%

標的血管心筋梗塞によるものと考えられる。


(本文から引用)

Kaplan-Meier曲線をみると、最初イベントが起き、あとはほぼ平行線。


(本文から引用)

30日以内の心筋梗塞、TLF、TVRがXience群で有意に多い。

心筋梗塞は、ほぼ入院中に起きている。
Orsiro群 34例 4% vs Xience群 30例 7%

心筋梗塞を正常上限の3倍以上のCK上昇と定義すると、
Orsiro群 2% vs Xience群 4%(postーhoc解析)

◇まとめと感想
OrsiroステントはXienceステントと比較し、12ヶ月後のTLF(心血管死、標的病変心筋梗塞、虚血による標的病変血行再建)を有意に減少した。ただ、その差はPCI直後に生じた差であり、ステントの差というよりは、手技に関連したものと思われる。比較的複雑性の高い病変を対象としていたためかもしれない。