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心臓の線維化とその治療

健常な心臓は間質成分はすくなく、ほとんどを平滑筋が占めている。心筋が肥大し、過剰な線維化が起こることで左室拡張機能障害が引き起こされると考えられている。

心不全は左室収縮機能が低下しているかどうかで、左室収縮機能が保たれた心不全をHFpEF(heart failure with preserved ejection fraction)と、左室収縮機能が低下した心不全をHFrEF(heart failure with reduced ejection fraction)と分けられている。その定義は論文によりまちまちで、40-50%で区切られる。

心臓の線維化を引き起こす要因として、アンジオテンシンⅡ、エンドセリン、機械的伸展、TGFβ、炎症性サイトカインTNFαなどが考えられる。HFpEFの予後はHFrEFと同程度に不良であるが、エビデンスに基づく治療法が確立されていない。そのため、HFpEFに対してレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を抑制することで線維化を抑えることが大規模臨床試験が行われてきたが、良い結果は出ていない。

ACE阻害薬(ペリンドプリル;コバシル®)のPEP-CHF試験、ARB(イベルサルタン;アバプロ®)のI-PRESERVE試験、抗アルドステロン薬(スピロノラクトン;アルダクトン®)のTOP=CAT試験が、それである。

心筋の線維化を引き起こすTGFβなど、ほかの要因をターゲットに臨床試験が計画・開始されている。

参考:心臓の線維化とその治療 日本内科学会雑誌第103巻第9号P2188-2192