2014.10.20 X-Pert Forum webセミナー(上妻謙先生)のまとめ
ステント血栓症(ST)は発症時期によりメカニズムが異なる。
acute ST:-24hr
subacute ST:24h-30d
late ST:1-12m
very late ST(VLST):1yr-
acute STとsubacute STをまとめて、early STと定義される
メカニズム
early ST:病態(STEMI)・手技(stent edgeの解離残存、拡張不十分など)・抗血小板薬の効果不十分など
late ST:複雑病変、透析、DM、分岐部病変・stent overlapping・stent fracture、早期のDAPT中止など
VLST:慢性炎症、血管内皮治癒過程の異常など
early STの手技による問題は、IVUSを使用すること(解離や拡張不十分例の把握)によりSTのリスクを低減できることがメタ解析で示されている。(AJC 2014;113:1338)
VLSTでは、late acquired incomplete stent apposition(LISA)がその原因のひとつであると考えられている。それは、PSS(peri-stent contrast staining:ステント径の20%以上の造影剤の染み出し)として認識できるではないか。倉敷中央病院のデータ(Circ2011;123:2382)では、PSSの有無によりVLSTの発症率が8.2%vs0.2%と、PSSを認める群でVLSTが多い傾向にあることが示された。
J-Cypher registryでは、stent留置1年以降も、0.26%/年でVLSTを認める。また、TLR(target lesion revascularization:標的病変再血行再建)も継時的に増える。第2世代DESが使用されるようになり、VLSTの問題はほぼなくなったとされるが、late catch upについては以前解決されていない。
血管治癒過程の異常については、stentにより異なる。Cypherでは好酸球主体の炎症が惹起されており、TAXUSではneoatherosclerosisやTCFA(thin cap fibroathroma)が多いとされる。