虚血性心疾患

化膿性汗腺炎は、心血管イベントリスクが少し高い

Risk of Major Adverse Cardiovascular Events and All-Cause Mortality in Patients With Hidradenitis Suppurativa.
JAMA Dermatol. 2016 Feb 17. [Epub ahead of print]

《要約》
重要性
化膿性汗腺炎は、ありふれた炎症性皮膚疾患である。この疾患と心血管リスク因子との関連があるが、心血管疾患のリスクは明らかなではない。

目標
化膿性汗腺炎の心血管疾患リスクを明らかにすること。

デザイン・セッティング・参加者
1997年1月1日から2011年12月31日までの、全国的なレジストリを使用した人口ベースのコホート研究である。化膿性汗腺炎と診断された5964例、それと年齢・性別・暦などをマッチさせた対照29404例の計35368例のデンマーク人である。

主要評価項目
アウトカムは、心筋梗塞、脳梗塞、心血管死、重大な心血管イベント(MACE)、全死亡である。発生率比(IRR)はポアソン回帰分析で求めた。

結果
化膿性汗腺炎5964例で、37.7歳(SD:11.7)、女性4346例(72.9%)であった。フォローアップ期間中に、心筋梗塞62例(42749.0人年)、虚血性脳梗塞74例(42647.8人年)、心血管死63例(42941.7人年)、MACE169例(42463.5人年)、全死亡231例(42941.7人年)を認めた。年齢、性別、社会経済的要因、喫煙、併存疾患、薬物治療で調整した後のIRR(95%CI)は、心筋梗塞1.57(1.14−2.17)、虚血性脳梗塞1.33(1.01−1.76)、心血管死1.95(1.42−2.67)、MACE1.53(1.27−1.86)、全死亡1.35(1.15−1.59)であった。重症な乾癬を対照とした場合、adjusted IRRは、心筋梗塞1.00(0.74−1.35)、虚血性脳梗塞0.93(0.71−1.22)、心血管死1.58(1.17−2.12)、MACE1.08(0.90−1.29)、全死亡1.09(0.94−1.28)であった。

結論
化膿性汗腺炎は交絡因子とは独立して、心血管疾患と全死亡を有意に増加させる。化膿性汗腺炎は、重症な乾癬よりも心血管死が多い。

◯論文のPECOはなにか
P:化膿性汗腺炎
E/C:なし
O:心筋梗塞、脳梗塞、心血管死、重大な心血管イベント(MACE)、全死亡

inclusion criteria:18歳以上(化膿性汗腺炎と最初に診断された年齢)
exclusion criteria:心筋梗塞と脳梗塞の既往

MACEの定義
心筋梗塞、虚血性脳梗塞、心血管死

characteristics

◯結果
デザイン:後ろ向き観察研究
登録期間:1997年1月1日〜2011年12月31日
フォローアップ期間:7.1±4.4年
地域:デンマーク
症例数:5964例(心筋梗塞と脳梗塞の既往がなく移住もしなかった29404例が対照)
outcome観察者のmasking:影響なし
交絡因子の調整:ポアソン回帰分析

result

◯感想/批判的吟味
化膿性汗腺炎と心血管疾患との関連は全く知りませんでした。化膿性汗腺炎もよくわからなかったので、googleで調べました。たくさん画像がでてきます。

それを見れば、あぁこういう皮膚の人いるなぁという感じ。

アポクリン腺の開口部が閉塞する疾患で、時に最近感染を起こし膿瘍を形成するらしい。化膿性汗腺炎によって引き起こされた慢性炎症が動脈硬化に関与するのかもしれない。

女性に多いと。
この観察研究でも70%が女性でした。

肥満との関連もあるらしいが、この研究では体重はデータに含まれていないので、交絡因子になっている可能性あり。

化膿性汗腺炎の患者さんを見かけたら、心血管イベントのリスクが少し高いと認識しておけ、ということでしょうか。