Association of Proton Pump Inhibitors With Risk of Dementia: A Pharmacoepidemiological Claims Data Analysis.
JAMA Neurol. 2016 Feb 15. [Epub ahead of print]
重要性
高齢者の認知症リスクに影響を与える治療は、認知症予防に関連があるかもしれない。プロトンポンプ阻害薬(PPI)は胃腸疾患の治療に広く使用されているが、認知機能の低下を引き起こす可能性があることが報告されている。
目標
高齢者において、PPIの使用と認知症の発症に関連があるか検証すること。
デザイン・セッティング・参加者
2004年から2011年のドイツ健康保険AOKの観察データを用いて前向きコホート研究を行った。外来患者と入院患者の診断と処方薬は、年4回入手した。データの解析は2015年8月から11月に行った。
暴露
オメプラゾール、パントプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾールの処方
主要評価項目
主要評価項目は、認知症の発生である。PPIの使用と認知症との関連は、時間依存性Cox回帰で解析した。年齢、性別、併存疾患、ポリファーマシーを交絡因子として調整した。
結果
75歳以上のbaseline時に認知症のない76679例を解析した。PPIを処方された患者(2950例、平均年齢83.8±5.4歳、女性77.0%)は、PPIを処方されていない患者(70729例、平均年齢83.0±5.6歳、女性73.6%)より、認知症のリスクが有意に増加した(HR:1.44、95%CI:1.36−1.52)。
結論
PPIの処方を避けることは、認知症の予防につながるかもしれない。この結果は、最近の疫学研究にも支持される。またPPIの使用は、動物実験でもマウスの脳内βアミロイドを増加させた。前向き無作為化試験によって、その関連についての詳細を検証する必要がある。
◯論文のPECOはなにか
P:75歳以上の高齢者
E/C:PPI(オメプラゾール、パントプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾール)使用の有無
O:認知症の発症
inclusion criteria:データの矛盾がないこと、baselineの期間で認知症がないことと死亡していないこと
◯結果
デザイン:後ろ向きコホート研究
登録期間:2004年〜2011年
フォローアップ期間:18ヶ月
地域:ドイツ
症例数:73679例
outcome観察者のmasking:影響なし
交絡因子の調整:時間依存性Cox回帰