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下壁梗塞の責任病変を心電図から判断する

New electrocardiographic criteria for predicting the site of coronary artery occlusion in inferior wall acute myocardial infarction
Am J Cardiol 1998;82:1318-1322

〇概要
30分以上持続する胸痛を主訴に来院した急性心筋梗塞(AMI)の連続152例が対象。下壁誘導(Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導)のST上昇から責任病変を同定する。

152例の内訳は
proximal RCA:64例
distal RCA:64例
LCx:19例
ちなみに、第一右室枝を分枝する手前での閉塞をproximal RCAと、その遠位部での閉塞をdistal RCAとしている。

〇結果
ST上昇(特にⅢ誘導)はLCxよりも、RCAで著明である。
proximal RCA:3.8±2.5mm
distal RCA:3.2±1.7mm
LCx:1.8±0.7mm

LCxが責任病変の場合、V3誘導でのST低下のカットオフを3.0mmとすると、3.0mm未満での陰性的中率は93%となる。

責任病変がLCxのとき、V3/Ⅲratio(V3誘導のST低下の絶対値/Ⅲ誘導のST上昇の絶対値)が1.2以下なら陰性的中率は98%である。

つまり、V3/Ⅲratioが1.2以下なら、それは責任病変はRCAである可能性が極めて高い。ただ、V3/Ⅲratioが1.2以上だからといって、責任病変がLCxであるとは言えない。V3/Ⅲratioは、Lcxが責任病変ではないことを判断するためのcriteriaである。