虚血性心疾患

若年期の心肺持久力と心血管イベントとの関連 CARDIA試験

Association of Fitness in Young Adulthood With Survival and Cardiovascular Risk: The Coronary Artery Risk Development in Young Adults (CARDIA) Study.
JAMA Intern Med. 2016 Jan 1;176(1):87-95

《要約》
重要性
高齢者において心肺持久力は予後と関連があるが、若年期における心肺持久力が、長期の心血管の構造や予後に影響があるかは定かではない。

目標
若年期の心肺持久力と、長期の臨床的なアウトカムや潜在的な心血管疾患との関連を検証すること。

デザイン・セッティング・参加者
米国の18歳から30歳の成人4872例を対象とした前向き研究で、1985年3月25日〜1986年6月7日に初回のトレッドミル検査を行い、2472例については7年後に2回目のトレッドミル検査を行った。フォローアップ期間の中央値は26.9年で、肥満、左室重量と左室ストレイン、冠動脈石灰化、生存状況と心血管疾患の発生について評価した。フォローアップは2011年8月31日に終了し、登録からフォローアップの終了までのデータが解析された。

主要評価項目
冠動脈石灰化は15年目(2000−2001年)、20年目(2005−2006年)、25年目(2010-2011年)にCTで評価した。左室容量は5年目(1990−1991年)、25年目に評価した。心血管疾患と全死亡の発生は調整した。

結果
フォローアップ期間で、4832例のうち273例(5.6%)が死亡、193例(4.0%)が心血管イベントを起こした。広範囲の調整後、baselineからの運動量の増加は死亡のハザード比を15%低下させ(HR:0.85、95%CI:0.80−0.91)、心血管疾患のハザード比を12%低下させた(HR:0.88、95%CI:0.81−0.96)。baselineでの高い心肺持久力は、25年後のより低い左室容量係数とより良いglobal longitudinal strainと有意に関連があった。運動と冠動脈石灰化との関連はなかった。7年目に施行したトレッドミル検査で、1分間の減少は死亡のハザード比の21%(HR:1.21、95%CI:1.07-1.37)、心血管イベントのハザード比の20%の増加(HR:1.20、95%CI:1.06−1.37)と関連しており、またストレインも悪化していた(β=0.15、95%CI:0.08−0.23)。運動量の変化と冠動脈石灰化との関連はなかった。

結論
若年期で、baselineでの高い運動量と運動量の増加は、冠動脈疾患と死亡のより低いリスクとの関連がある。運動量と運動量の変化は、心筋肥大と機能不全と関連があったが、冠動脈石灰化との関連はなかった。

◯論文のPECOはなにか
P:若年成人
I/C:経過観察
O:全死亡、心血管イベント

inclusion criteria:18−30歳
exclusion criteria:安静時高血圧(収縮期血圧≧160mmHg、拡張期血圧≧100mmHg)、心筋梗塞の既往、狭心症、弁膜症、心血管治療薬の使用(降圧薬とサイアザイド系利尿薬は除く)、臨床的な心不全

心血管イベントの定義
非致死的心筋梗塞、非致死的脳梗塞、狭心症・うっ血性心不全・TIAによる入院、頚動脈・末梢動脈の血行再建、致死的動脈硬化性の冠動脈疾患と脳梗塞、それ以外の致死的動脈硬化性疾患

◯結果
デザイン:前向き観察研究
登録期間:1985年3月25日〜1986年6月7日
フォローアップ期間:26.9年(中央値)
地域:米国
症例数:4872例
outcome観察者のmasking:影響なし
交絡因子の調整:Cox比例ハザード回帰を用いた
脱落:baselineのトレッドミル検査やcharacteristicsなどのデータを喪失した症例(242例)、同意の撤回(1例)

baseline
baseline

result
1−minute reduction
1-minute increase

死亡273例のうち、200例(73.3%)が非心血管死で、非血管死のうち悪性腫瘍(45例、22.5%)が最多であった。

◯感想/批判的吟味
子どもが生まれてからトライアスロンをやめたので体力も落ちているし、この結果に当てはめると、死亡のハザード比が上がってんだろうな。