Early protection against sudden death by n-3 polyunsaturated fatty acids after myocardial infarction: time-course analysis of the results of the Gruppo Italiano per lo Studio della Sopravvivenza nell’Infarto Miocardico (GISSI)-Prevenzione.
Circulation. 2002 Apr 23;105(16):1897-903.
背景
GISSI-Prevensione試験で、3ヶ月以内に心筋梗塞の既往のある患者において、n-3多価不飽和脂肪酸(n−3PUFA)による生命予後改善効果を検証した。
方法・結果
11323例を、至適薬物療法(OMT)と生活習慣の改善に加え、n−3PUFAとビタミンEの内服を行う群と行わない群に無作為に割り付けた。ITT解析を行った。突然死、非致死的心筋梗塞、冠動脈疾患、脳血管イベントに対するn-3PUFAの早期の有効性を検証した。生存曲線は無作為化から早期に、n−3PUFA投与によって群間差が認められ、3ヶ月の時点でn−3PUFA群で有意な低下がみられた(RR:0.59、95%CI:0.36−0.97)。特に、突然死でも4ヶ月の時点でリスク減少が認められた(RR0.47、95%CI:0.219−0.995)。6−8ヶ月の時点で、心血管、心臓、冠動脈死でも同様の傾向を認めた
結論
死亡率や突然死に対する低容量n−3PUFAの早期の効果は、薬剤の抗不整脈作用の仮説を支持する。これの結果は、これまでの動物実験のデータや疫学・臨床試験のデータと一致している。
◯この論文のPICOはなにか
P:心筋梗塞を発症して3ヶ月以内の患者
I:OMTと生活習慣の改善に加え、n−3PUFA1g/日とビタミンE400mg/日の内服(n−3PUFA群)
C:OMTと生活習慣の改善のみ
O:1年間の全死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳梗塞の複合エンドポイント
◯ランダム化されているか
記載なし。
◯baselineは同等か
同等。以下、ざっくりと。
年齢59歳、高血圧35%、糖尿病15%、EF>40%:86%、VT1%、運動負荷試験陽性30%、抗血小板薬90%、ACE阻害薬47%、β遮断薬44%、コレステロール治療薬5%
◯症例数は十分か
記載なし。
◯盲検化されているか
open-label。outcome評価者は盲検化されている。
◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析。
◯感想/批判的吟味
非致死的心筋梗塞、非致死的脳梗塞には群間差はなく、死亡率のみ有意に改善している。
2002年の古い論文なので致し方ないが、両群でOMTを行うとされているがそもそも現在のOMTとは異なる(抗血小板薬、ACE阻害薬、β遮断薬、コレステロール治療薬の内服率が低い)。なので、この結果をそのまま、今も使えるかは定かではない。
n−3PUFAの抗不整脈作用によって突然死が減ったということが考察されている。しかし、β遮断薬の内服率は40%程度であり、この内服率を増やしたほうが明らかに生命予後に寄与すると思う。十分な量のβ遮断薬へn−3PUFAを上乗せすることでもこの抗不整脈作用が発揮され、有意な死亡率の低下に結びつくかはわからない。