Polymer-free Drug-Coated Coronary Stents in Patients at High Bleeding Risk.
N Engl J Med. 2015 Oct 14. [Epub ahead of print]
◯この論文のPICOはなにか
P:出血リスクの高い冠動脈疾患患者
I:polymer-free drug-coated stent(BioFreedom群)
C:ベアメタルステント(BMS群)
O:primary safety endpointは、心臓死、心筋梗塞、ステント血栓症の複合エンドポイント。primary efficacy endpointは虚血による標的病変再血行再建。
inclusion/exclusion criteriaはSupplementary Appendixにしか記載がないので省略。
手順:割り付けられたステントを1本以上使用し治療を行う。DAPTはアスピリン75−250mg/日とクロピドグレル75−150mg/日が推奨されている。DAPT期間は1ヶ月。
◯ランダム化されているか
Web-based systemもしくはtelephone interactive voice-response systemを使用しランダム化を行う。
◯baselineは同等か
同等。以下、ざっくりと。
年齢75歳、1/3がDM、1/4がAMI、15%がUAPで残りが狭心症、20%が三枝疾患、1/3が心房細動合併、PCI後も抗凝固療法を行ったのは1/3、Hb11g/L未満もしくは4週間以内の輸血が15%、脳出血の既往1%、Ccr<40ml/minが20%、3年以内の悪性腫瘍10%。
◯症例数は十分か
safety endpointがBMS群で8%起こり、lost follow upが5%、非心臓死が3%で起こると仮定し、非劣勢マージンを3.2%、power80%、αlevel0.05として必要症例数は各群1228例と算出されている。BioFreedom群1239例、BMS群1227例登録されおり、BMS群で1例のみであるが必要症例数には達していない。
◯盲検化されているか
double blind。アウトカム評価者や解析者も盲検化されている。
◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
PCIを行わなかった症例は解析に含まれていない。modified ITT解析である。
◯結果
BioFreedom群 vs BMS群, HR(95%CI)
primary safety endpoint
9.4% vs 12.9%, 0.71(0.56-0.91)
efficacy endpoint
5.1% vs 9.8%, 0.50(0.37-0.69)
◯感想/批判的吟味
・企業がスポンサーの試験。
・実行委員会のメンバーにスポンサー企業の人間が入っているが、スポンサーはデータの収集や解析には加わっていない。
・primary safety endpointは心臓死、ステント血栓症では差がなく、心筋梗塞で差がついている。自然発生とステント内再狭窄に関連した心筋梗塞が多かった様。
・ステント血栓症は2ndDESより多い(出血リスクが高いと、塞栓リスクも高いためではないかとdiscussionされている)