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冠攣縮性狭心症(VSA)が原因と思われる院外心停止蘇生例に対する植込み型除細動器(ICD)の適応

日本循環器学会のVSAのガイドラインでは、

院外心停止後蘇生例では冠攣縮が誘発された場合、植込み型除細動器(ICD)の適応をどのように考えるべきか、現時点ではエビデンスといえるものはない。

と記載されている。

Referenceに載っていたのは以下の論文。

Clinical Characteristics and Long-Term Prognosis of Vasospastic Angina Patients Who Survived Out-of-Hospital Cardiac Arrest
Circ Arrhythm Electrophysiol 2011;4:295-302
VSA1429例(うち院外心停止例35例)を対象にしたretropsectiveなstudy。
VSA全体でみると、予後は悪くない(年齢:中央値66歳、四分位範囲58-73歳)。
event-free survival

院外心停止(OHCA:out-of-hospital cardiac arrest)のうち14例に対しICDが植え込まれている。14例のうち2例で心室細動(VF)に対し適切作動あり。非ICD患者で、内服薬の自己中断のため1例死亡。1例に非致死的心筋梗塞、3例に不安定狭心症による入院あり。

survival rate では、OHCAとnon-OHCAに有意差なし。
一方、MACE(心臓死、非致死的心筋梗塞、心不全・不安定狭心症での入院)の発生率では有意差あり。
survival,MACE free survival

Usefulness of Implantable Cardioverter-Defibrillators in Refractory Variant Angina Pectoris Complicated by Ventricular Fibrillation in Patients With Angiographically Normal Coronary Arteries
Am J Cardiol 2002;89:1114-1116
VFがdocumentされていて薬物加療に対し難治性のVSA8例をfollowしたもの。
観察期間は3.5±3.2年で、すべての患者がカルシウム拮抗薬(CCB)を内服しており、8例全例に退院後、心室性不整脈が認められている。心室性不整脈再発までの期間の中央値は15か月(2-115か月)
7例に対しICDが植え込まれ、4例に適切作動あり、うち1例は適切作動にもかかわらずPEAとなり死亡。
その4例では、3例で2回の適切作動があった。
薬物療法でも症候性の場合はICDの植え込みを考慮すべきであると結論付けている。
demographic and clinical data

OHCA蘇生例にはICDを植込むのが今の流れのようだが。あとアミオダロンはどうだろう。VFsurvivorならミオダロンを投与するが、冠攣縮が誘発された後も続けるかどうかだけど、β遮断作用があるし、やっぱりやめておいた方がいいのだろう。ICD植込んでVFで作動した症例に、アミオダロンでVFが起きなくなったというcase reportはあったので、そのときに検討かな。