日本に行われたプラスグレル(エフィエント)の第3相試験。
日本でプラスグレル(エフィエント)が使えるようになって久しいが、欧米では出血事象が多く、あまり広く使われてはいないらしい。
Efficacy and Safety of Adjusted-Dose Prasugrel Compared With Clopidogrel in Japanese Patients With Acute Coronary Syndrome
Circulation Journal. 2014;78(7):1684-92
〇カテゴリー
治療効果、害
〇デザイン
RCT
〇資金源
Daiichi Sankyo Co,Ltd(Tokyo Japan)
〇利益相反
ここでは割愛
〇背景
プラスグレルはクロピドグレルと比較し、効果発現が迅速で、効果が高く、安定している。TRITON-TIMI38では、クロピドグレルと比較し虚血性イベントは少なかったものの、出血は多かった。それは75歳以上の高齢者、体重60kg未満のもので多く、日本人のACS患者は欧米より高齢・低体重であるため、プラスグレルを低用量(LD20mg/MD3.75mg)にすることで、出血リスクを低減できると考えられた。
〇論文のPICO
P:inclucion:日本人のACS患者で以下の項目を満たす。72時間以内の10分以上続く胸痛及び虚血症状、1mm以上のST変化もしくは3mm以上のT波陰転化もしくは心筋逸脱酵素上昇
Exclusion:治療抵抗性の心室性不整脈、血小板減少性紫斑病、無顆粒球症、汎血球減少、再生不良性貧血、頭蓋内出血の既往、虚血性脳梗塞・TIAの既往、出血傾向を来す疾患の既往、コントロール不良の高血圧症、高度肝機能障害、高度腎機能障害、NYHAⅣ以上の心不全、5日以内のチエノピリジン系薬剤の内服、24時間以内の血栓溶解剤の使用
I:アスピリン(81-330mg)に、プラスグレル(LD20mg/MD3.75mg)の併用
C:アスピリン(81-330mg)に、クロピドグレル(LD300mg/MD75mg)の併用
O:薬効と安全性について検討。
primary:心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性虚血性脳梗塞
Secondary:それらの複合エンドポイント
安全性では、出血事象について評価。
〇ランダム割り付けされているか
SASソフトウェアを用いて中央割付方式がとられていると考えられる。
〇baselineは同等か
同等
〇ITT解析か
FAS(Full Analysis Set)が行われている。
除外理由:ステント留置しなかった例(n=16)、禁止した薬剤の使用(n=1)、ほかの理由(n=5)
〇結果に影響を及ぼすほどの脱落があるか
上記の22例
追跡率=1385-22/1835=98.4%
〇マスキング(盲検化)されているか
患者と医師はマスキングされいている。
Outcomeの評価は、予め決められた基準で行われている。
統計解析は、スポンサーとは独立した委員会が行っている。
〇症例数は十分か
介入によってMACEを15%低下させ、検出力0.8として、n=600が必要としている。
〇結果の評価
24週間後、48週間後のprimary endpoint(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性虚血性脳梗塞)およびsecondary endpoint(それらの複合)に有意差なし。出血に関しては、TIMI bleeding criteriaの非CABG関連大出血・非CABG関連小出血で両群間に有意差なし。
プラスグレル群で、微小な出血が有意に多かった(HR1.51 95%CI:1.26-1.80)。そのため、出血全体で両群間に差が出ている(HR1.48 95%CI: 1.25-1.74)