敗血症では、末梢循環をターゲットとした循環蘇生が良いのか、あるいは乳酸をターゲットとした循環蘇生が良いのか。
Effect of a Resuscitation Strategy Targeting Peripheral Perfusion Status vs Serum Lactate Levels on 28-Day Mortality Among Patients With Septic Shock: The ANDROMEDA-SHOCK Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2019 Feb 17. doi: 10.1001/jama.2019.0071.
【PICO】
P:高乳酸血症(≧2.0mmol/L)+輸液負荷・血管収縮薬を要する敗血症性ショック
I:capillary refill timeを指標とした循環蘇生
C:乳酸を指標とした循環蘇生
O:28日死亡率
secondary endpoint:90日死亡率、72時間以内の臓器不全(SOFAスコアによる)、28日間の人工呼吸器離脱期間・腎代替療法離脱期間・血管収縮薬離脱期間など
inclusion criteria:MAP≧65mmHgを維持するため60分以内に20ml/kgの輸液を行った上で血管収縮薬が必要な症例
exclusion criteria:出血、重症ARDS、DNR
手順:介入期間は8時間。まずCRT測定。右手の人差し指の腹でスライドグラスを皮膚に押し付け、皮膚が白くなった状態で10秒間キープ。計測器でrefill timeを測定し、3秒以上を異常とした。
CRTは30分おきに、乳酸は2時間おきに測定。
目標は、CRTターゲット群ではCRTの正常化、乳酸ターゲット群では乳酸の正常化、または2時間ごとに20%の減少。
1st step:輸液反応性の評価。輸液反応性があれば、目標が達成されるか、CVPが上限に達するか、輸液反応性がなくなるまで500mlの晶質液を30分ごとに投与。輸液反応性が判断ができない場合は、目標が達成されるかCVPが上限に達するまで輸液を継続。
2nd step:高血圧患者で、1st stepで目標に到達しなかった場合、ノルアドレナリンを用いてMAP80−85mmHgに上げ、CRTと乳酸を1−2時間で評価。目標に到達すればその血圧を維持。目標に到達しなければノルアドレナリンをもとの投与量まで減量して3rd stepへ。
3rd step:目標に到達していなければ、低容量のドブタミンかミルリノンを投与し、1−2時間後に評価。それでも目標に到達しない、もしくは安全性の問題がでてきたら、ドブタミン・ミルリノンは中止。
【試験の概要】
デザイン:RCT(オープンラベル)
地域:南米5ヶ国
登録期間:2017年3月〜2018年3月
観察期間:28日間
症例数:424例(CRTターゲット群212例、乳酸ターゲット群212例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与なし
【患者背景】
両群に差はない。
ざっくりと。年齢62歳、男女半々、APACHEⅡ22、SOFA9.7、高血圧40%、敗血症の原因は腹腔内感染と肺炎が1/3ずつ、尿路感染が20%、MAP69mmHg、CVP9mmHg、乳酸4.5mmol/L、ScvO2 71%、CRT5秒、輸液量25−30ml/kg、敗血症の診断から抗菌薬投与まで1.5-2時間
【まとめと感想】
統計学的には有意な差ではないけど、CRTを指標とした循環蘇生を行うことで、28日死亡率が低下しています(HR:0.75 [0.55-1.02])。ベットサイドで簡単にできる方法だし、これはいい。
私自身は、CRTをターゲットとして循環蘇生を行ったことがありませんでした。末梢循環が改善した結果として、「CRT・mottled skinよくなってんじゃん」って感じでみてました。今度からはこのやり方を取り入れようと思います。
まず、CRTをターゲットとした循環蘇生を行い、さらに乳酸値も確認していくという感じでやってみます。