Coronary Artery Disease in Patients With Out-of-Hospital Refractory Ventricular Fibrillation Cardiac Arrest.
J Am Coll Cardiol. 2017 Aug 29;70(9):1109-1117.
◇概要
院外心停止、初期波形がVT/VFで、3回のDCとアミオダロン300mgでもROSCしない症例の、冠動脈疾患の有病率や病変の複雑性を調べた研究。
<ミネソタ大学難治性VF/VTプロトコール>
ACLSに準じたCPRを行う。カテラボ到着後、ETCO2<10%、Pa02<50mmHg、SpO2<85%、血清乳酸値>18mmol/Lのいずれかを満たす場合には、CPRを中止。いずれも満たさない場合で、ROSCすれば速やかにCAG/PCIを行い、ROSCしない場合は速やかにVA-ECMOを導入し、CAG/PCIを行う。90分間、電気的な自己心拍を維持できない場合は、死亡と判断する。
・前向きコホート研究
・62例(カテラボまでたどり着き、組み入れ基準を満たす症例)
7/62例:死亡
55/62例:カテラボ到着 うち5例がROSC 残り50例はVA-ECMO導入
46/55例:PCI施行
84%が冠動脈疾患
多枝病変が多く、Syntax Score29と高め。
1/3がCTO
血栓性病変も多くを占める。
アメリカだから、救急要請からカテラボ到着まで、結構時間がかかっている。
生存例では、要請からEMS到着までの時間が短く、カテラボ到着までの時間も短め。
ETCO2が高く、乳酸が低く、循環不全の影響が少なめ。
脳機能カテゴリ(CPC)1と2の割合は42%で、historical comparison groupでは15.3%で、神経学転帰もよい(オッズ比4.0、95%CI:2.08−7.7)
ちなみに、CPC1は神経障害が軽く、日常生活・就労に問題がない状態。CPC2は神経障害があり、麻痺・失調・記銘力障害などがあるが日常生活は自立できており、保護された状態でパートタイムの仕事ならできるという状態。
◇まとめと感想
初期波形がVT/VFの院外心停止でROSCしない難治性の症例では、冠動脈疾患を有する可能性が高く、血栓性病変・多枝病変も多い。ROSCしない症例に対しては、迅速にVA-ECMOを導入することで、生存率・神経学的予後の改善するかもしれない。