Incident Myocardial Infarction and Very Late Stent Thrombosis in Outpatients With Stable Coronary Artery Disease.
J Am Coll Cardiol. 2017 May 2;69(17):2149-2156
◇この論文のPECOは?
P:安定した冠動脈疾患
E/C:なし
O:心筋梗塞(MI)と突然死
inclusion criteria:MIや血行再建から1年以上経過した患者、冠動脈の50%以上の狭窄
<デザイン、セッティング>
・フランス
・前向きコホート研究
・登録期間:2010年2月〜2011年4月
・4184例 うち4094例を完全にフォローアップ(98%)と良い
・1つでもステントが留置されていた患者は2816例
・観察期間:4.9年(中央値)
<患者背景>
(本文から引用)
だいたい2/3にOMIありステントが入っているが、EFは保たれている。抗血小板薬は95%以上、スタチンは90%ほど内服している
170例がフォローアップ期間中にMIを発症した。
MIを発症した患者では、フォローアップ開始時点で狭心症の症状、HbA1c>7%、多枝病変、DAPTが多く、喫煙率、LDLが高く、CABGが少なかった。
<結果>
ステント留置患者でMIを再発した170例のうち、冠動脈造影(CAG)が行われたのは95.5%だった。4.5%でCAGが行われなかったが、心電図上、以前ステントを留置した冠動脈の閉塞の所見を示した患者はいなかった。
全体では、MIの発症率は0.8%/年。
(本文から引用)
喫煙は最も強力な予後因子であり、コントロールが悪い糖尿病もやはり良くない。
(本文から引用)
20%(27例)がVLST(超遅発性ステント血栓症)。ステント留置から5.2年(中央値)で、最大17年。およそ半分(14例)が第一世代DESで、BMSが10例、第二世代DESが3例。25/27例がなんらかの抗血栓療法を行なっていた。
VLSTの死亡率は18%/年。一方、VLSTではないMIの死亡率は7%/年だった。
◇感想
OMI、postCABGが多くを占める安定した冠動脈疾患をフォローしたレジストリーデータで、薬物療法も比較的しっかりやられている印象。MIの発症率は0.8%/年(4%/5年)と低い。そのためか、ステント血栓症の多さが目立つ。
半分が第一世代DESだからとはいえ、MIの23%がステント血栓症であり、ステントを留置することの重大さを認識させられる。MIでステントを留置するのはまだ良いが、まだステントが入っていない狭心症なら、PCIをやる前に十分な薬物療法はやらねばと思う。