Assessing the Risks Associated with MRI in Patients with a Pacemaker or Defibrillator
N Engl J Med 2017; 376:755-764
◇論文の概要
心臓植込み型電気的デバイス(ペースメーカやICD)はMRIは禁忌とされてきた。MRI非対応のペースメーカやICDで、MRI(1.5T)を撮像することの影響を調べた前向き研究。
MRI撮像の前に設定の変更を行い、終わったら元に戻す。
・ペースメーカの場合
無症候または自己脈≧40/minなら、no-pacing mode(ODO、OVO=ペーシングせず、センスのみ)
症候性または自己脈<40/minなら、asynchronous pacing mode(DOO、VOO=自己脈に関係なく設定されたレートでペーシングし続けるモード)
・ICDの場合
ペーシングに依存していない患者なら、徐脈・頻脈に対する治療のすべてを解除する。
ペーシングに依存している患者は、MRIの撮像はしない。
MRIの撮像が終わったら、もとの設定に戻す。
アウトカムは、死亡、交換を要するジェネレータまたはリード不全、ペーシング不全、新規の不整脈、ジェネレータの電気的なリセット
MRI撮像回数
ペースメーカ:1000回
ICD:500回
ペースメーカ依存の患者は28%、撮像時間は40分ちょっと、1回以上撮像している患者はおよそ20%、撮像部位は頭・首・腰が多い。
ICDで1件、ジェネレータ不全のため交換が必要になっている。
ジェネレータやリードの不全とまではいかなくても、ジェレネータやリードには多少影響はある。
◇感想
今までも少数の報告や、胸部MRIを含めた500例ぐらいの報告はあったよう。MRI非対応のペースメーカやICDが留置されている患者で、1.5TのMRIで非胸部の撮像なら、比較的安全に施行できる可能性を示唆している。