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心房細動(血栓形成、エコー所見)

動脈血栓は、share stressにより生じる血小板を主体とする血栓で白色血栓と言われる。静脈血栓は、血液のうっ滞を原因としてできる血栓で赤色血栓と言われる。

赤血球は大きさは7μm程度なので、エコーでは捕捉できない。だから、心腔内は真っ黒に見える。エコーでもやもや見えるということは、エコーで捕捉できるぐらい大きいものがあるということ。心房細動では、それは赤血球の連銭形成である。血流が早くなれば、連銭形成は簡単になくなり、見えなくなる。

心房細動では、左心耳内に血栓を形成しやすい。エコーで黒く見えるものは、割とフレッシュでそういうものが塞栓を起こしやすい。それが、経時的な変化で表面が器質化してきて、エコー上白くなってくる。時間が経つと器質化が進み、全体が白色に見えてくる。それは、比較的塞栓を起こしにくい。

僧房弁狭窄症(MS)、拡張型心筋症(DCM)、肥大型心筋症(HCM)では、左房後壁など左心耳以外にも血栓ができやすい。

経胸壁心エコー(TTE)で左心耳内血栓は、2-3cm程度の大きさがないと観察できない。TTEで血栓がなくても、左房内血栓の存在を否定できない。観察すべきviewは、傍胸骨短軸像(大動脈弁レベル)、心尖部二腔像、剣状突起下像(大動脈弁短軸像)。経食道心エコー(TEE)では、中部食道垂直断面像(90°)で左心耳を描出し、さらに60°で入口部を、120°で底部を観察する。

血管内皮障害、血流の停滞、凝固異常がVirchowの3徴であるが、心房細動では左房内で血流の停滞が起こっている。それは、左心耳内の血流を測定することによって、血栓を形成しやすい環境があるかどうか判断することができる。洞調律では、左心耳血流は80-100cm/sで、通常の心房細動患者では30-40cm/sに低下している。血栓形成を起こしやすいのは、20cm/sと言われている。

ワーファリンはⅡ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子の生成を抑制しその効果を示すが、内服開始し早い段階でプロテインSの活性を低下させる。それが、血栓形成傾向に傾ける可能性がある。

2014.10.23 NOAC講演会 岩永史郎先生(埼玉医大国際医療センター)、先生(さいたま市立医療センター)