不整脈

NOAC内服下の日本人心房細動患者の頭蓋内出血 ワルファリンより血腫拡大発生率や死亡率が低い

Intracranial Hemorrhage Caused by Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants (NOACs)- Multicenter Retrospective Cohort Study in Japan.
Circ J. 2015;79(5):1018-23

《要約》
背景
非ビタミンK拮抗経口凝固薬(NOACs)を内服していた心房細動患者の頭蓋内出血の特徴を明らかにするため、多設後ろ向きコホート研究を行った。

方法・結果
NOACに関連した脳出血(出血量、血腫拡大、院内死亡率を含む)の臨床的な特徴を検証するため日本の脳卒中センター241施設に質問票を送った。我々のデータとワルファリンに関連した脳出血の臨床的特徴を比較するため、文献のレビューを行った。174施設(72.2%)から返信があり、67施設(38.5%)から130症例の匿名情報(男性67.7%、平均年齢77.3±8.3歳、院内死亡率11.5%)を得た。130症例のうち87症例が脳出血で、1/5で抗血小板薬を内服していた。そのNOACに関連した脳出血87例の中で血腫拡大の発生率と死亡率は、ワルファリンに関連した脳出血より低かった(17% vs 26%, 16% vs 35%)。

結論
我々の質問票に返信した脳卒中センターの半分以上は、NOACに関連した脳出血を経験していなかった。NOACsではワルファリンと比較し、脳出血の血腫拡大と死亡のリスクが低かった。

◯論文のPECOはなにか
P:NOAC内服中に脳出血を起こした患者
E/C:なし
O:血腫拡大、院内死亡率

◯結果
デザイン:後ろ向きコホート
期間:2001年1月〜2014年9月
地域:日本
症例数:130例(脳出血87例、硬膜下血腫30例、くも膜下出血6例、その他7例)
交絡因子の調整:なし

脳出血130例
CHADSスコア:3(中央値)
CKD:103例
抗血小板薬の併用:28例
プロトロンビン複合体製剤(PCC)の使用:13例
院内死亡:15(11.5%)

◯感想/批判的吟味
質問票に答えた症例のみを含めた後ろ向きのデータ。NOACによる頭蓋内出血は、出血が小さく予後が良いことを支持する内容ではある。

ワルファリンとの比較、NOAC間(ダビガトランとリバーロキサバン)の比較について、統計学的検討は行われていない。