XANTUS: a real-world, prospective, observational study of patients treated with rivaroxaban for stroke prevention in atrial fibrillation.
Eur Heart J. 2015 Sep 1. [Epub ahead of print]
目的
臨床試験の結果から、非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の脳梗塞予防に非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬が推奨されているが、実臨床での安全性と有効性のデータが必要である。XANTUS試験で、第X因子阻害薬であるリバーロキサバンの実臨床での安全性と有効性を検証した。
方法・結果
新規でリバーロキサバンを開始したNVAFの連続症例を、3ヶ月未満の間隔で1年間のフォローアップ、もしくは内服中止後少なくとも30日間のフォローアップを行った。すべての有害事象は、有害事象もしくは重大な有害事象として記録した。重大な有害事象は、大出血、症候性血栓塞栓症(脳梗塞、全身性塞栓症、TIA、心筋梗塞)、全死亡で、中央で判定し。欧州・イスラエル・カナダの311施設で、6784例が登録され、患者の平均年齢は71.5歳(19−99歳)、女性41%、中等度から高度の腎機能障害(<50ml/min)9.4%であった。CHADS2スコアとCHA2DS2−VAScスコアの平均値は、それぞれ2.0と3.4であった。859例(12.7%)はCHA2DS2−VAScが0か1であった。平均治療期間は329日で、大出血は128例(2.1%/年)、死亡118例(1.9%/年)、脳梗塞43例(0.7%/年)であった。
結論
XANTUSは、NVAFに対しリバーロキサバンを広く使用した、最初の国際的前向き観察研究である。実臨床で、リバーロキサバンを内服している患者の脳梗塞と大出血の発症率は低かった。
◯論文のPECOはなにか
P:新規でリバーロキサバンの内服を開始した非弁膜症性心房細動(NVAF)
E/C:経過観察
O:大出血、症候性血栓塞栓症(脳梗塞、全身性塞栓症、TIA、心筋梗塞)、全死亡
inclusion criteria:18歳以上
・処方するか否か、用法用量は主治医に一任
◯結果
デザイン:前向き観察研究
登録期間:2012年6月〜2013年12月
フォローアップ期間:平均329日
地域:欧州・イスラエル・カナダ
症例数:6785例
characteristics
年齢:71.5±10歳
男性:59.2%
BMI:28.3±17.3
CCr:15−30:1.1%、30−50:8.0%、>50:56.2%
CHADS2:2.0±1.3(0:10.4%、1:30.4%、>2:59.2%)
CHA2DS2−VASc:3.4±1.7
outcome
全死亡:1.9%/年
脳梗塞:0.7%/年
全身性塞栓症:0.1%/年
TIA:0.5%/年
心筋梗塞:0.4%/年
致死的出血:0.2%/年
頭蓋内出血:0.4/年
消化管出血:0.9%/年
◯感想/批判的吟味
ROCKET-AF試験では、CHADS2スコアは平均3.4とハイリスクの患者を対象としていたが、この研究ではCHADS2:0−1点が40%含まれていた。CHADS2スコアがより低い患者でも、その有効性と安全性が確認された。
日本と海外では推奨される用量は異なるので、そっくりそのまま日本人に当てはめて考えることはできないかもしれないが、同様の効果があると考えていいだろう。