Incidence of ischemic stroke in Japanese patients with atrial fibrillation not receiving anticoagulation therapy–pooled analysis of the Shinken Database, J-RHYTHM Registry, and Fushimi AF Registry.
Circ J. 2015;79(2):432-8.
背景
日本人の非弁膜症性心房細動患者で、凝固療法を行っていない者の虚血性脳梗塞の発症率は明らかではない。
方法・結果
日本人の非弁膜症性心房細動患者3588例(心研データベース1099例、J−RHYTHMレジストリ1002例、伏見レジストリ1487例)のプール解析を行い、虚血性脳梗塞の発症率を調べた。平均年齢は68.1歳であった。フォローアップ期間中(5188人年、平均1.4年)、69例が虚血性脳梗塞を発症した(13.3/1000人年、95%CI:10.5−16.8)。虚血性脳梗塞の発症率はCHADS2スコアが低リスク(0点)、中リスク(1点)、高リスク(2点以上)でそれぞれ5.4、9.3、24.7/1000人年であり、CHA2DS2−VAScスコアでは5.3、5.5、18.4/1000人年であった。虚血性脳梗塞やTIAの既往(HR:3.25、95%CI:1.86−5.67)、75歳以上(HR:2.31、95%CI:1.18−4.52)、高血圧(HR:1.69、95%CI:1.01−2.86)が虚血性脳梗塞の独立した危険因子であった。
結論
CHADS2スコア2点以上を除くと、日本人の非弁膜斉唱心房細動患者の虚血性脳梗塞発症率は低い。このプル解析では、虚血性脳梗塞やTIAの既往、年齢、高血圧が独立した危険因子であると確認された。
◯論文のPECOはなにか
P:抗凝固療法を行っていない非弁膜症性心房細動
E/C:なし
O:虚血性脳梗塞発症率
◯結果
デザイン:心研データベース、J−RHYTHMレジストリ、伏見レジストリのプール解析
登録期間:J−RHYTHMレジストリ:2010年1月〜2010年7月、伏見レジストリ:2011年3月〜、心研データベース:2004年6月〜
フォローアップ期間:平均1.4年
地域:日本
症例数:3588例
outcome観察者のmasking:outcomeへの影響はない
交絡因子の調整:Cox比例解析
◯感想/批判的吟味
脳梗塞の既往、高血圧、75歳以上の患者では、より注意が必要。
CHADS2スコア、CHA2DS2−VAScスコアが0−1点の低〜中リスクの患者では、脳梗塞の発症率はそれほど高くないため、抗凝固療法のリスクの方が大きくなる可能性がある。