不整脈

NOACsに関連した頭蓋内出血は死亡率が高い

Early Clinical and Radiological Course, Management, and Outcome of Intracerebral Hemorrhage Related to New Oral Anticoagulants.
JAMA Neurol. 2015 Dec 14:1-10

《要約》
背景
頭蓋内出血は抗凝固療法を受けている患者に起こる最も重大な有害事象である。新規経口抗凝固薬(NOACs)の頭蓋内出血のデータはほとんどない。NOACsに関連した頭蓋内出血の早期の臨床像やX線画像の経過、急性期の治療とアウトカムについて調べた。

方法
前向き、医師主導、多施設、観察研究である。すべての診断と、プロトロンビン複合体製剤などの凝固因子を投与するかなどの治療方針は、主治医が決定する。2012年2月1日から2014年12月31日に、ドイツの38の脳梗塞ユニットで行われた。非外傷性のNOACsに関連した頭蓋内出血の連続61症例が対象で、うち45例(74%)が血腫増大解析に含められた。3ヶ月後の機能的アウトカム、好ましくないアウトカムに関連した要因(modified Rankin scale score;mRSスコア)、新規の脳室穿破やmodified Graeb scoreの増加、血腫増大(相対的な33%以上の血腫増大、もしくは6ml以上の血腫増大)、抗凝固薬のリバースなどを評価した。

結果
NOACsに関連した頭蓋内出血のうち41%(25/61例)が女性、平均年齢76.1歳、NIHSSの中央値は10、baselineの平均出血量は23.7mlであった。画像のフォローアップがなされた症例のうち、38%(17/45例)で血腫増大を認めた。3ヶ月の時点での全体の死亡率は28%(17/60例、1例はデータ喪失)で、生存者のうち65%(28/43例)は好ましくないアウトカムだった(mRSスコア:3-6)。全体で57%(35/61例)がプロトロンビン複合製剤の投与を受けたが、血腫増大の頻度(43% vs 29%)やmodified Rankin Scale score:3-6の発生(OR:1.20)に、統計学的有意差はなかった。

結論
NOACsに関連した頭蓋内出血は、死亡率が高く、好ましくないアウトカム(mRSスコア:3−6)や血腫増大の頻度が高い。特異的中和剤の投与がNOACsに関連した頭蓋内出血の予後を改善できるか検証するには、より大きな前向き試験が必要である。

◯論文のPICOはなにか
P:NOACS内服中の頭蓋内出血
O:血腫拡大、脳室穿破、抗凝固療薬のリバース

inclusion criteria:18歳以上、頭蓋内出血発症時でのNOACs(アピキサバン、ダビトラン、リバーロキサバン)の内服、

exclusion criteria:mRSスコアについてのexclusion criteriaはない

◯結果
baseline
年齢76歳、アピキサバン8%、ダビガトラン12%、リバーロキサバン80%、アスピリン7%、クロピドグレル2%、アスピリン+クロピドグレル2%、CHA2DS2−VASc:5点、HAS−BLED:2点、GFR<60ml/min:29%、mRSスコア(発症前:2、発症時:5)、NIHSS:10 comparison
(本文より引用)

◯感想/批判的吟味
NOACsはVKAと比較して、頭蓋内出血の出血量や血腫増大は少ないとの報告があるが、この観察研究では以前に報告されているVKAに関連した頭蓋内出血と、出血量・出血部位・脳室穿破の発生率に差はなかった。これは、VKAが投与される患者とNOACsが選択される患者と同一ではないので、その影響もあるだろう(出血のリスクが高いからNOACsが選択された可能性がある)。

NOACsだからといって、必ずしも出血が小さく済むというわけではないということだろう。