心臓手術

生体弁の可動性異常 FDAの見解

Reduced Leaflet Motion in Bioprosthetic Aortic Valves – The FDA Perspective.
N Engl J Med. 2015 Nov 19;373(21):1996-1998

St.Jude Medical社で製造しているTAVRのデバイスであるporticoで、弁尖の可動性低下が報告され、同社は、同デバイスの一時的な植え込み中止を公表した。弁尖の可動性低下は、3Dまたは4DボリュームレンダリングCTや経食道心エコーで同定できるが、経胸壁心エコーでは可動性低下や血行動態の変化は確認できないと、著者らは報告している。

臨床的に、またはエコーにて発見された弁尖の可動性低下は、以前も報告されている。FDAは弁尖の運動異常がが最初に報告されてから、大動脈生体弁の有効性・安全性、特に晩期の神経学的イベント、心筋梗塞、不測の心不全、死亡などリスクについて厳重に追跡していた。現時点では、限定したデータしかないため、その発生率やメカニズム、随伴するリスクなを完全には説明できない。また、弁尖の運動異常の発見・予防・治療などは明らかではない。

デバイスのデザイン、手術手技、解剖、生理、臨床的なマネージメントなど何がこの問題を引き起こしてるか検証が必要。生体弁を適切に使用するための意思決定を行う上で、弁尖の可動性異常の真の発生率や予測因子、潜在的なリスクを把握することが重要である。

FDAは、これらの問題を解決するため臨床医とデバイス製造者と活動し、慎重なモニタリングを行っている。

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ということで、生体弁にみられる可動性低下の原因や対処方法については、まだ決定的なことはわかっていない様。今後の報告が待たれる。