Anti-inflammatory treatment with colchicine in stable chronic heart failure: a prospective, randomized study.
JACC Heart Fail. 2014;2:131-7
慢性心不全では、線維化やアポトーシス、細胞機能不全などが起こっており、炎症性メディエータの関与が指摘されている。コルヒチンの抗炎症作用により、それらのプロセスを抑制し、アウトカムを改善できるか検証した試験。
◯この論文のPICOはなにか
P:EF<40%の症状の安定した慢性心不全
I:コルヒチン(1mg分2)の内服(コルヒチン群)
C:プラセボの内服(プラセボ群)
O:6ヶ月後のNYHAが、少なくともⅠ度以上改善した割合
exclusion criteria:3ヶ月以内の心不全による入院、NYHAⅣ、CRT、炎症性疾患・感染性疾患・悪性腫瘍・自己免疫疾患、肝不全(Child:B/C)、腎不全(eGFR<30ml/min/1.73m2)、アドヒアランス不良
procedures:2ヶ月のrun-in periodの後にランダム化を行う。コルヒチンは1mg分2(体重<60kgは0.5mg分1)を内服する。観察期間は6ヶ月で、臨床的評価を毎月行い、経胸壁心エコーとトレッドミルを試験開始前と観察期間の最後に行う。BNPは毎月測定する。高感度CRPとIL−6は試験開始前と観察期間の最後に測定する。
◯ランダム化されているか
randomly assignedとあるが、具体的な方法については記載なし。
◯baselineは同等か
年齢は60歳代半ばで男性が7割。虚血性が3割、DCM1割。平均NYHA2.4で、20%に心房細動を合併している。EF27%、LVDd/Ds62/53mm。薬剤の内服率はβ遮断薬80%、ACEi/ARB85%、利尿薬7割。
両群間に有意差なし。
◯症例数は十分か
αlevel:0.05、power:90%、primary endpointの達成はコルヒチン群で25%、プラセボ群で10%と仮定し、必要症例数は226例と算出されている。
◯盲検化されているか
double blinded。
◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析とあるが、死亡した例やフォローアップ不能例を除いており、modifiedITT解析と思われる。脱落率4%。
◯結果
criteriaを満たした282例がrun-inし3例が脱落、299例(コルヒチン群140例、プラセボ群139例)がランダム化されている。コルヒチン群で死亡2例+フォローアップ不能2例、プラセボ群で死亡5例+フォローアップ不能1例あり、それらの症例は除かれている、よって、コルヒチン群134例、プラセボ群133例が解析に含まれている。
primary endpointは、コルヒチン群で14%、プラセボ群で11%で両群間に統計学的有意差はなかった(オッズ比:1.40、95%CI:0.67−2.93)。
バイオマーカやエコー所見は差が見られなかった。コルヒチン群で唯一LVDd/Dsがごくわずかに縮小しているが、EFはかわりない。
◯批判的吟味/感想
・単施設
・modified ITT解析
・必要症例数を満たしているが、primary endpointに差はない。