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コルヒチンは心膜炎の再発を抑制する CORP-2試験

Efficacy and safety of colchicine for treatment of multiple recurrences of pericarditis (CORP-2): a multicentre, double-blind, placebo-controlled, randomised trial.
Lancet. 2014;383:2232-7

○この論文のPICOはなにか
P:初回の心膜炎から6週間以上経過し、再発した心膜炎
I:6ヶ月間のコルヒチンの内服(コルヒチン群)
C:プラセボの内服(プラセボ群)
O:18ヶ月以内の心膜炎の再発

コルヒチンは6ヶ月間内服し、用法用量は0.5mg/回 2回/日とする。体重が70kg以下なら、1回/日に減量する。

inclusion criteria:18歳以上、心膜炎(特発性、ウイルス性、心外傷後、膠原病)の再発(初回の心膜炎から無症候で6週間以上経過)
exclusion criteria:結核性、悪性腫瘍、細菌性、重症の肝臓病もしくは正常上限の1.5以上の肝酵素の上昇、クレアチニン上昇(221.00μmol/L)、ミオパチーもしくは正常上限以上のCKの上昇、血液疾患、炎症性腸疾患、コルヒチンに対するアレルギーや禁忌、生命予後18ヶ月以内

心膜炎の再発の定義:胸痛と以下のうちひとつ以上満たすこと。心膜摩擦音、心電図変化、心農水貯留、白血球・赤血球沈降速度・CRPの上昇。
急性心膜炎の診断criteria:少なくとも以下の2つを満たすこと。胸痛、心膜摩擦音、広範囲のST上昇もしくはPR低下、新規の増悪する心農水。

◯ランダム化されているか
コンピュータによる割付。

◯baselineは同等か
年齢、手術の既往、心筋梗塞の既往、心膜炎の成因、薬物療法(NSAIDsやステロイドの使用率)に群間差なく、beselineは同等である。

◯症例数は十分か
αlevel:0.05、power:0.80、プラセボ群の心膜炎再発率を30%、コルヒチンにより15%の絶対リスク低下があると仮定し、必要症例数は240例と算出されている。コルヒチン群、プラセボ群それぞれ120例ずつ登録され、症例数は十分である。

◯盲検化されているか
double blind trial。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析。ロストフォローアップはない。

◯結果
アドヒアランスは両群とも95%以上で群間差ない。
平均観察期間は約20ヶ月。
心膜炎の再発はコルヒチン群で21.6%(26例)、プラセボ群で42.5%(51例)であった。
相対リスク0.49(95%CI:0.24−0.65)
NNT=5

pos−hoc解析では、特発性でコルヒチンの再発抑制効果が高かった。
コルヒチン群:18/96例(18.8%)、プラセボ群:43/102例(42.2%)

安全性に関しては、副作用の発現率で群間差はなかった。
コルヒチン群では、消化器症状9例(7.5%)、肝酵素上昇3例(2.5%)、CK上昇1例(0.8%)、脱毛症1例(0.8%)であった。

◯批判的吟味/感想
心膜炎の再発というハードではないエンドポイントだが盲検化されている。また、プラセボの味・形・色などはコルヒチンに同一のものとしているとのことで、厳格に盲検化を守っている印象。もちろん、コルヒチンは白血球数や尿酸値に影響を与える薬剤ではないため、治療介入者側も割付を推測できない。
添付文書によると、コルヒチンは1.8mg/日を越えると消化器症状が出やすくなると記載されているが、0.5−1.0mg/日という量であれば、プラセボと比較しても副作用が増えるということはない。ただ、遅発性の副作用や稀な副作用については、この試験では判断できない。