AVERT試験では、アピキサバン2.5mgの1日2回投与により血栓イベントは有意に減りました(出血は有2倍に増えましたが)。このCASSINI試験は同じような試験デザインで、リバロキサバンでのVTE予防効果が検証されています。
Rivaroxaban for Thromboprophylaxis in High-Risk Ambulatory Patients with Cancer.
N Engl J Med. 2019 Feb 21;380(8):720-728.
【PICO】
P:外来化学療法を行う固形癌・リンパ腫でKhoranaスコア2点以上
I:リバロキサバン10mg
C:プラセボ
O:180日間の血栓イベント(下肢の近位部深部静脈血栓症、遠位部深部静脈血栓症、症候性肺血栓塞栓症、血栓塞栓症による死亡)
安全性評価項目:大出血(輸血を要する出血、Hb>2g/dlの出血)
exclusion criteria:脳腫瘍、脳転移、活動性出血
Khoranaスコア
胃癌、膵癌=2点
肺癌、リンパ腫、婦人科腫瘍、膀胱癌、精巣癌=1点
血小板>35万/μL=1点
Hb<10g/dlまたはESA製剤の使用=1点
白血球数>1.1万/μL=1点
BMI>35=1点
Khoranaスコア別のVTE発症リスク(2.5ヶ月)
低リスク群(0点):0.3%
中リスク群(1−2点):2.0%
高リスク群(3−6点):6.7%
【試験の概要】
デザイン:RCT(double blind)
地域:? 11ヶ国143施設
登録期間:?
観察期間:平均4.3ヶ月(予定は180日)
症例数:841例(リバロキサバン群420例、プラセボ群421例)
解析:ITT解析
スポンサー:Janssen社、Bayer社
【患者背景】
DVT既往がリバロキサバン群で多いが、それ以外は有意差なし。
ざっくりと。年齢62歳、男女半々、白人80%、Khoranaスコア2点70%、3点25%、DVT既往(プラセボ群0.5%、リバロキサバン群2.6%)、癌種(膵癌1/3、胃癌20%、肺癌15%、リンパ腫6%)
【結果】
リバロキサバン群の43.7%、プラセボ群の50.2%が薬剤を途中で中止している。
【まとめと感想】
悪性腫瘍のVTE予防のためにルーチンで抗凝固薬が必要かどうかは置いといて、少なくともリバロキサバンでは有意な差にはなりませんでした。
アピキサバンについてはこちらをご参照ください。
悪性腫瘍の静脈血栓塞栓症とアピキサバンの予防投与