ベースのLDLコレステロール値とか、患者さんの状態にもよりますが、心筋梗塞二次予防だったら基本的にスタチンは出しています。
Efficacy and safety of statin therapy in older people: a meta-analysis of individual participant data from 28 randomised controlled trials.
Lancet. 2019 Feb 2;393(10170):407-415.
【PICO】
P:高齢者
I/C:スタチンvsコントロール、高容量vs低容量スタチン
O:大血管イベント(冠動脈イベント・脳梗塞・冠動脈血行再建)、死因別死亡率、悪性腫瘍
<研究の選択>
症例数1000以上、観察期間2年以上のRCTを組み入れ
文献データベース:MEDLINE、EMBASE、Pubmed
検索語: “statins OR HMG CoA Reductase Inhibitors” “Elderly OR Aged”
期間:1996年1月1日〜2017年12月31日
28のRCT
出版バイアス:low
◇まとめと感想
観察期間の中央値4.9年。心不全と透析を対象としたRCTでは高齢者でのスタチンは有効性が見出せなかったけど、高齢者でもスタチン療法・高容量スタチン療法により、1mmol/LのLDLコレステロール低下で21%(RR:0.79 [0.77-0.81])の冠動脈イベント減少を認めました。心不全と透析を除くと、どの年齢のサブグループでも冠動脈イベントが減少していますが、高齢になるほど減少率は小さくなっています(≦55歳:RR0.75 [0.69-0.81]、≧75歳:RR0.87 [0.77-0.99])。
相対リスクにすると20%前後のイベント減少ですが、絶対リスクにすると1%/年にも満たないです。75歳以上だと絶対リスク減少0.5%で、NNT200になります。75歳以上の患者さん200人に1年間スタチンを処方し、LDLコレステロールを1mmol/L(=39mg/dl)下げると、冠動脈イベントがひとり減る感じです。
日本人ならもっと絶対リスク減少は小さいのかも。そうなると、スタチンを処方すべきかどうかは患者さんの状況によりけりなんでしょうね。