米国のAgency for Healthcare Research and Qualityは、オメガ3系脂肪酸について次のように結論づけている(1)。
・魚油サプリメントは、HDLコレステロールとLDLコレステロールをちょっと (≦2mg/dl) 上昇させる。
・容量依存的に中性脂肪を下げるし、もともと中性脂肪が高めの人は下がりやすい。
・心血管疾患を減らさない (RCTより)。
・魚油サプリメントを高容量とれば、動脈硬化性脳梗塞については減るかもしれない (観察研究より)。
・心血管死、致死的・非致死的脳卒中 (虚血性・出血性) への効果はRCTと観察研究で結果が異なっていて、RCTではベネフィットは示されていないが、観察研究ではベネフィットがありそう。
まとめると、HDLコレステロール上がったり、中性脂肪下がったり、なんかいい効果がありそうだけど、死亡とか心筋梗塞とかを予防するまでの効果はほぼ期待できないってことでしょうか。
さらに、別のシステマティックレビューでは、心筋梗塞二次予防、糖尿病、低HDL血症、高TG血症、スタチンの有無などのいずれのサブグループでも心血管イベント (非致死的心筋梗塞、心血管死、非致死的・致死的脳梗塞、血行再建) は減らないことが示された。ただ、投与量別のサブグループ解析はされていなかったので、残念ながら魚油の高容量投与ではどうなのかってところまではわからない(2)。
とはいえ、心血管イベント予防としてのオメガ3系脂肪酸の出番はなさそう。
(1) Omega-3 Fatty Acids and Cardiovascular Disease: An Updated Systematic Review (https://effectivehealthcare.ahrq.gov/topics/fatty-acids-cardiovascular-disease/research)
(2) JAMA Cardiol. 2018 Mar 1;3(3):225-234.