Outcomes after Angiography with Sodium Bicarbonate and Acetylcysteine
N Engl J Med. 2017 Nov 12. doi: 10.1056/NEJMoa1710933. [Epub ahead of print]
◇リサーチクエスチョン
炭酸水素ナトリウムとアセチルシステイン(NAC)は、有効性が十分確認されていないが、臨床では造影剤腎症の予防として使用されている。炭酸水素ナトリウムとNACに、生食を上回る効果があるのか。
◇PICO
P:CKDがあり、血管造影が行われる患者
I/C:炭酸水素ナトリウムvs生食、NACvsプラセボ
O:死亡、透析、90日時点での血清Crの50%以上の上昇
炭酸水素ナトリウムと生食は、造影1-12時間前に1−3ml/kg/hの速度でtotal3−12ml/kg投与する。造影中は1−1.5ml/kg/hとし、造影後は1−3ml/kg/hで2−12時間続ける。
NACは造影1時間前と1時間後に1200mgずつ内服。その後4日間、1200mg/回、2回/日で内服する。
inclusion criteria:eGFR15−44.9ml/min/1.73m2、DM+eGFR45−59.9ml/min/1.73m2
exclusion criteria:緊急血管造影
◇試験の概要
デザイン:RCT(2×2 factorial design, double blind, placebo control)
地域:米国
登録期間:2013年2月〜2017年3月
観察期間:90日
症例数:5177例(炭酸水素ナトリウム群)
解析:mITT解析(4993/5177例、96.4%)
スポンサー:企業の関与なし
◇結果
4群に患者背景の差はない。
だいたい、体重:98±22kg、eGFR:50(IQR:41−59)、造影剤使用量:85(IQR:55−135)。
▶︎primary endpoint
炭酸水素ナトリウムvs生食
4.4%vs4.7%(OR0.93、95%CI0.72−1.22)
NACvsプラセボ
4.6%vs4.5%(OR1.02、95%CI0.78-1.33)
▶︎CINの発生
炭酸水素ナトリウムvs生食
9.5%vs8.3%(OR1.16、95%CI0.96−1.41)
NACvsプラセボ
9.1%vs8.7%(OR1.06、95%CI0.87-1.28)
中間解析で、有効性を認めなかったため試験は早期に中止となった。
◇まとめと感想
eGFR15−49.9、DM+eGFR45−59.9という造影剤腎症ハイリスクを対象とし、炭酸水素ナトリウムとNACの有効性を検証した試験。炭酸水素ナトリウムに生食を上回る効果はなく、造影剤腎症の発生にも差はなかった。またNACは役に立たないという結果だった。
造影剤腎症の予防は、生食でよい。