心不全

急性心不全 ウラリチドの効果なし

ANP製剤であるカルペリチドは日本のみで使用されている薬剤で、UoToDateで”carperitide”と検索しても、心不全に関する記述はなにも出てきません。以前、BNP製剤であるネシリチドは、メタ解析で腎機能を悪化させる可能性が示唆され、ASCEND-HF試験が行われましたが、良い効果はなにも示せませんでした。

そして、同じナトリウム利尿ペプチドであるウラリチドのRCTです。

ffect of Ularitide on Cardiovascular Mortality in Acute Heart Failure
N Engl J Med. 2017 May 18;376(20):1956-1964.

◇この論文のPICOはなにか
P:急性心不全
I:ウラリチド15ng/kg/minの持続静注
C:プラセボの持続静注
O:15ヶ月での心臓死

inclusion criteria:BNP500pg/ml以上、フロセミド40mg静注後少なくとも2時間以上安静時呼吸困難が持続、SBP116−180mmHg

◇試験の概要
地域:23ヶ国、156施設
登録期間:2012年8月〜2014年5月
観察期間:15ヶ月(中央値)
盲検化:二重盲検
必要症例数:2152例
症例数:2157例(ウラリチド群1088例、プラセボ群1069例)
解析:ITT解析
スポンサー:Cardiorentis社

◇患者背景

(本文から引用)
両群間で有意差なし。
2/3がHFrEF。

◇結果

(本文から引用)

◇感想
急性心不全に対するウラリチドは、NTproBNPは下がるが、生命予後を改善させない。Crはちょっと上がる。

急性心不全急性期の数十時間の治療が、その後の生命予後に影響を大きな影響を与えるというのは、そもそも違和感がある。ネシリチド、ウラリチドの効果は否定された。日本で使えるカルペリチド(ハンプ®️)はどうなのか。少なくとも自分の心不全治療には、これからも出番はありません。