Stroke and Mortality Risk in Patients With Various Patterns of Atrial Fibrillation
Circ Arrhythm Electrophysiol. 2017;10:e004267.
◇論文の概要
<背景>
心房細動(AF)のパターンで抗凝固療法のリスクとベネフィットが変わるかは、議論がある。ENGAGE AF-TIMI48試験では、第Xa因子阻害薬のエドキサバンが脳梗塞と全身性塞栓症の予防においてワーファリンに対し非劣性で、出血と心臓血管死を有意に減少させた。しかし、AFのパターンによる詳細な解析は報告していない。
<方法と結果>
21105例を、登録時のデータをもとに発作性心房細動(>7日)、持続性心房細動(7日-1年未満)、永続性心房細動(≧1年)に分類した。2.8年間(中央値)のフォローアップで有効性と安全性のアウトカムを評価した。主要評価項目である脳梗塞と全身性塞栓症は、持続性心房細動(1.83%/年、P-adj=0.015)や永続性心房細動(1.95%/年、P-adj=0.004)より、発作性心房細動では低かった(1.49%/年)。全死亡も、持続性心房細動(4.4%/年、P-adj<0.001)や永続性心房細動(4.4%/年、P-adj<0.001)より、発作性心房細動では低かった(3.0%/年)。年間の大出血発症率は、すべての心房細動で同程度であった(発作性vs持続性vs永続性:2.86%vs2.65%vs2.73%)。治療薬による効果修飾はなかった。
<結論>
ENGAGE AF-TIMI48試験では、発作性心房細動は持続性あるいは永続性心房細動と比べ、塞栓症と死亡が少なかった。エドキサバンと有効性・安全性のプロファイルは、3つのパターンの心房細動で一貫していた。
◇感想
1980年代のいくつかの観察研究では、発作性心房細動は永続性よりも塞栓症が少ないと報告されていた。しかし、2000年に発作性心房細動460例と持続性と永続性心房細動1552例を比較したSPAF試験で、差がないことが報告された。
最近になって、SPORTIF、ARISTOTLE、ROCKET-AF、ACTIVE-A、AVERROESなどの試験で、やはり発作性心房細動の方が塞栓症は少ないということが報告されている。
心房細動が永続的なものになる過程として、内皮障害、繊維化、左房拡大が進んでいくなら、やはり発作性心房細動の方が永続性心房細動より塞栓症が少ないというのは、合点がいきます。