Fibrinogen/fibrin degradation products in acute aortic dissection.
Intern Med. 2010;49(18):1943-7
《要約》
背景
Dダイマーは急性大動脈解離の診断の手がかりである。しかし、すべての救急病院で迅速Dダイマー検査が用いられているわけではない。フィブリノゲン・FDPは線溶系亢進の指標であり、急性大動脈解離のマーカとして有用かもしれない。また、FDPと偽腔血栓化の関連は明らかではない。
背景
Dダイマーは急性大動脈解離の診断の手がかりである。しかし、すべての救急病院で迅速Dダイマー検査が用いられているわけではない。フィブリノゲン・FDPは線溶系亢進の指標であり、急性大動脈解離のマーカとして有用かもしれない。また、FDPと偽腔血栓化の関連は明らかではない。
患者
2005年7月から2007年12月までに入院した急性大動脈解離50例(平均年齢:66.5±11.2歳、男性:60.0%)と急性心筋梗塞57例(平均年齢70.8±10.4歳、男性:71.9%)を比較した。
結果
急性大動脈解離のFDP値(μg/ml)は、急性心筋梗塞のそれより有意に高かった(中央値:40.2±78.6 vs 5.2±9.8)。FDP値:2.05μg/mlをカットオフとすると、感度98%、特異度54%で急性大動脈解離と予測できる。偽腔が部分的に血栓化した患者のFDP値は、偽腔開存または完全な偽腔閉鎖があり外科的治療を行わずに退院した患者のFDP値より、有意に高かった(中央値:35.8±43.2 vs 14.0±21.3)。
結論
FDP値の測定は急性大動脈解離を疑う患者の初期評価や、偽腔の血栓化の状態の予測に有益かもしれない。
◯感想/批判的吟味
当院は非常に大動脈解離が多い地域。それだけ、高血圧が放置されているということで医療水準が低いと思われるが、大動脈解離と急性心筋梗塞、あるいはその合併で悩むケースはしばしばある。それが、FDPの測定でクリアカットになるかはわからないが(結果がでるまで時間が掛かる)、NSTEMIなど時間的猶予がある症例では、FDP値は非常に有用かもしれない。