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プラスグレル(エフィエント®)の待機的PCIでの有効性と安全性 PRASFIT-Elective試験

Prasugrel, a Third-Generation P2Y12 Receptor Antagonist, in Patients With Coronary Artery Disease Undergoing Elective Percutaneous Coronary Intervention
Circ J. 2014;78:2926-34

日本では年間25万例のPCIが施行され、PCI後はアスピリンとチエノピリジンの二重抗血小板療法が行われる。クロピドグレルはCYP2C19で代謝されることで薬効を発揮するが、poor metabolizersでは抗血小板薬(クロピドグレル)の効果が減弱するため、心血管イベントリスクが増加する。日本人ではそのpoor metabolizersが約20%いると言われている。

欧米で行われたTRITON-TIMI 38試験では、プラスグレルはクロピドグレルと比較し虚血性イベントを抑制したが出血は多かった。日本では独自の容量設定がなされ、その容量でクロピドグレルと比較したPRASFIT-ACS試験では、TRITON-TIMI 38試験と同程度のイベント抑制効果があり、出血リスクはクロピドグレルと同程度であった。

待機的PCIでクロピドグレルとチクロピジンを比較したCLEAN試験では、クロピドグレル投与群で12週後の心筋梗塞発症率は7.7%あり、中等度の心血管イベントリスクがある。待機的PCIでクロピドグレルとプラスグレルの安全性と有効性を比較したのが、PRASFIT-Elective試験である。

○この論文のPICOはなにか
P:PCIを施行する冠動脈疾患患者(冠動脈CTで確認された安定狭心症や以前の心筋梗塞)に対し
I:アスピリン+プラスグレルを内服すると
C:アスピリン+クロピドグレルと比較し
O:24週後の心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳梗塞(複合エンドポイント)が減るか検証したRCT
安全評価項目は、非CABG関連大出血、非CABG関連小出血など出血に関して評価

○baselinehaは同等か
同等。
平均年齢は67歳ぐらいで、75歳以上が2割ほどを占める。平均BMIは24で、50kg以下も10%いる。喫煙率や既往歴も同等。3/4が安定狭心症だけど、不安定狭心症も10%弱いる。ステントは9割がDESを使用している。

○ランダム割付されているか
Study Design and Treatmentにはrandamizedと記載があるが方法についての記載はない。

○盲検化されているか
患者、治療介入者は盲検化されている。Outcome評価者と解析者については記載なし。

○症例数は十分か
サンプルサイズが計算されていない。

○すべての患者の転機がOutcomeに反映されているか
一回でも内服した患者は解析に含まれるFull Analysis Setが行われている。751例(プラスグレル群377例、クロピドグレル群374例)がランダマイズされ、解析されたのはプラスグレル群370例、クロピドグレル群372例。

○結果の評価
primary endpointであるMACEに群間差ないがクロピドグレル群で多い傾向にあった(プラスグレル群4.1%、クロピドグレル群6.7%)。その内訳は、死亡はいずれもゼロで、もっとも頻度が高かったのは非致死的心筋梗塞であった(プラスグレル群3.2%、クロピドグレル群6.5%)。MIの定義としては、他の試験の中でも厳しめのCK-MB正常上限×3と設定されている。

CABG非関連大出血でもプラスグレル群0%、クロピドグレル群2.2%とクロピドグレル群で多い傾向。小出血も合わせると、それぞれ1.8%と3.0%で、PCIの合併や外因性のものではなく、自然発生のものが増えている。

群間の統計学な比較がされてないが、虚血性イベント、出血性イベントともにエフィエントが良さそう。虚血性イベントのうちもっとも頻度が高かったMIの定義は厳しめであり(そもそもPCIに関連したMIの定義は心筋逸脱酵素がどの程度にするのか定まっていない)、それが生命予後に大きな影響があるかどうかは別だが、血小板凝集能をきちんと抑えられていることがいいのかもしれない。