Warfarin-Associated Nonuremic Calciphylaxis
JAMA Dermatol. 2017 Jan 11. [Epub ahead of print]
重要性
腎不全に関連した古典的なカルシフィラキシスは、生命を脅かす疾患である。腎不全がないワルファリン関連カルシフィラキシスは報告されていたが、それが古典的カルシフィラキシスの一種なのか、別の存在なのかは不明であった。我々は、1例のワルファリン関連カルシフィラキシス、我々の施設での別の2例、そして文献から得られたすべてのワルファリン関連カルシフィラキシスのレビューを報告する。我々のレビューは、ワルファリン関連カルシフィラキシスは古典的カルシフィラキシスとは、臨床的、病理生理学的に異なったものであることを示している。
目的
ワルファリン関連カルシフィラキシスのレビューと古典的カルシフィラキシスとの関連を明らかにすること。
デザイン、セッティング、患者
MEDLINEで、”calciphylaxis and warfarin”, “non-uremic calciphylaxis”, “nonuremic calciphylaxis”で検索した。非尿毒性カルシフィラキシスは、高度な腎疾患(血清Cr<3mg/dl、eGFR>15ml/min、透析を必要とする急性腎不全、腎移植)がない病理組織学的なカルシフィラキシスと定義した。
暴露
すべての患者はカルシフィラキシス発症以前にワルファリンを内服していた。
アウトカム
患者のデータは、公表された報告より要約した。患者の医療情報は可能であれば取り寄せ、レビューした。
結果
18例の非尿毒性カルシフィラキシスを確認し、うち15例は文献からで、3例は自施設のものであった。患者は女性が多く(15/18例、83%)、年齢は19−86歳であった。カルシフィラキシス発症以前のワルファリンの内服期間は32ヶ月であった。病変は大抵下腿であった(12/18例、67%)。リン酸カルシウムの上昇は報告がなかった。石灰化がもっとも多かったのは中膜(8/18例、44%)、血管内腔と内皮(7/18例、39%)であった。主要な治療は、ヘパリンまたは低分子ヘパリンの置換(13/18%、72%)、チオ硫酸ナトリウムの静注(9/18例、50%)、高圧酸素療法(3/18例、17%)であった。退院時生存率は高く、15例(83%)で全治、3例が死亡した。
結論
ワルファリン関連カルシフィラキシスは古典的カルシフィラキシスとは、病理組織、経過、特に転帰が異なる。これらの所見はこの疾患の臨床的なマネージメントや治療に影響を与える。
症例は、60歳代の女性で、高脂血症、関節リウマチ、糖尿病、心房細動があり、2年前からワルファリンを内服していた。1年前から下腿に網状皮斑があり、紫斑が新たに出現した。腎疾患なし。血清Cr、Ca、P正常で、副甲状腺機能も正常。
生検すると、10日後に潰瘍を形成してしまった。
抗凝固療法をリバロキサバンに変え、チオ硫酸ナトリウムなどでよくなった。
◇感想
カルシフィラキシス自体、初めて知りました。
腎不全でみられるカルシフィラキシスとワルファリン関連カルシフィラキシスとの違いは、前者が体幹・下肢近位に多く、脂肪と関連があるのに対し、ワルファリン関連カルシフィラキシスは下腿に多いということと、前者で死亡率が高いということ(50−80%)。
ワルファリン関連カルシフィラキシスは、血管の石灰化が背景にあるようです。
治療はワルファリンの中止。チオ硫酸ナトリウム静注は、腎不全によるカルシフィラキシスでは創傷治癒を促し効果があるようですが、ワルファリン関連カルシフィラキシスでも効果があるかは不明。ビタミンKが有効かもしれない。