虚血性心疾患

コルヒチンは、ベアメタルステントを留置した糖尿病患者のステント内再狭窄を抑制する

Colchicine treatment for the prevention of bare-metal stent restenosis in diabetic patients.
J Am Coll Cardiol. 2013;61:1679-85

◯この論文のPICOはなにか
P:糖尿病を有し、ベアメタルステント(BMS)によってPCIが施行された患者
I:コルヒチン1mg分2内服(コルヒチン群)
C:プラセボ内服(プラセボ群)
O:6ヶ月後のangio-ISRとIVUS−ISR
angio-ISR:ステント内に50%以上の狭窄を有するもの
IVUS−ISR:minimum lumen area(MLA)<4mm2

inclusion criteria:40-80歳、2.5mm以上のBMS、DES留置不能例(長期のDAPT不可、triple antithrombotic therapyを要する症例、12ヶ月以内に手術が予定されている症例)

exclusion criteria:左冠動脈主幹部病変、急性心筋梗塞、肝不全(Child classB/C)、屈曲などでIVUSの施行が難しい症例、高度もしくは末期腎不全(eGFR≦20ml/min/1.73m2)、コルヒチンアレルギー、ミオパチー、スタチンの副作用出現例

1患者で2枝以上PCIが施行された場合は、血管径が大きい方のみ組み入れる。

手技:IVUSガイドでPCIを行い、BMS留置後にノンコンプライアントバルーンで後拡張を行う。その後にIVUSを行い、それをbaseline measurementsとする。

◯ランダム化されているか
randomizedとあるが、その方法については記載なし。

◯baselineは同等か
同等。以下ざっくりと。
年齢63歳、喫煙40%、インスリン依存性糖尿病25%、腎不全30%、LVEF55%、ACS30%、ステント長24mm、ステント径3.0mm、CTO12%、in-stent MLA7.1mm2

◯症例数は十分か
プラセボ群のISRが40%、コルヒチンの内服によりISRが50%減少すると仮定し、power80%、αlevel0.05として、必要症例数は各群81例。それよりも少し多い222例(コルヒチン群:112例、プラセボ群:110例)が登録された。

◯盲検化されているか
double blind。IVUSの評価はコアラボで。outcome評価者、解析者の盲検化の有無は記載なし。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
modifiedITT解析。
コルチヒン群112例のうち、死亡もしくは6ヶ月以内の再血行再建5例、ロストフォローアップ7例あり、100例が解析されている。一方、プラセボ群110例のうち、死亡もしくは6ヶ月以内の再血行再建6例、ロストフォローアップ8例あり、96例が解析されている。追跡率は196/222=88%であった。

◯結果
angio-ISR、IVUS−ISRともにコルヒチン群で有意にISRが低かった。
ISR

IVUS

◯批判的吟味/感想
・追跡率88%と高いとは言えない。
・modifiedITT解析であり、効果を高く見積もる可能性がある。
・ISRを抑制することが、心筋梗塞の抑制や死亡率の改善につながるかどうかは不明。

糖尿病を有する症例に対しBMSを使用すると、よりISRが起きやすい。コルヒチンによって、それを抑えることができる。