虚血性心疾患

エゼチミブはTRS2°Pを参考に

IMPROVE-IT試験では、冠動脈疾患二次予防において、シンバスタチンにエゼチミブを加えることで、心血管イベントが抑制することが示された。

7年間の観察期間で、心臓血管死、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症による入院、無作為化から30日以降の再血行再建、非致死的脳梗塞の複合エンドポイントが、エゼチミブ群34.7%、シンバスタチン単独群32.7%と、ARR2%とわずかであるが、統計学的には有意な差を認めた。


(N Engl J Med. 2015;372(25):2387-97より引用)

死亡率に差はないが、非致死的心筋梗塞、脳梗塞、血行再建を減らしている。

では、どのような患者でより効果が高いのか。

Atherothrombotic Risk Stratification and Ezetimibe for Secondary Prevention.
J Am Coll Cardiol. 2017;69(8):911-921

ここでは、TRS2°Pというスコアが使われている。慢性心不全、高血圧、75歳以上、糖尿病、陳旧性脳梗塞、CABGの既往、末梢動脈疾患、eGFR<60、喫煙の9つの項目をいくつ満たすかというもの。最小はゼロ、最大で9点ということになる。

0−1点がlow、2点がintermediate、3点以上がhighというカテゴリに分けられる。TRS2°P≧3点であれば、エゼチミブによるリスク減少が期待できる。


(本文から引用)

IMPROVE-IT試験では、TRS2°P:1点は45%、2点は30%、3点以上は25%であった。自分が診ている患者だと、0−1点というのはそれほど多くない気がする。


(本文から引用)

Cが心筋梗塞、Dが脳梗塞、Aが心血管死+心筋梗塞+脳梗塞。単純な足し算・引き算はできないが、TRS2°Pが3点以上のハイスコアでも心血管死は減ってなさそう。

TRS2°Pが0−2点なら、エゼチミブはいらない。3点以上のハイリスクでは、スタチンを十分量内服してそれでもリスクが高いと考えるなら、エゼチミブを考慮してもいいだろう。