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高安動脈炎

日本では大動脈炎症候群と呼ばれることが多いが、欧米での呼称は高安動脈炎である。

男女比1:9で女性に多く、女性における発症年齢のピークは約20歳だが、中高年で初発する例もまれではない。男性でははっきりとした初発年齢はない。遺伝的要因としてはHLA-B52、HLA-B39との関連が報告されており、HLA-B52陽性症例は陰性症例に比べて病変の程度が強いといわれている。

診断には、CT、MRA、頸動脈エコー(95%で頸動脈病変を認める)を用いる。炎症の局在を診断できるFDG PET-CTは感度・特異度は90%以上とされ、ステロイド治療による炎症の抑制も診断可能である。遅延造影(MRA)では、急性期の炎症は反映しないことがある。

ステロイド治療への反応性は良好とされ、治療の第一選択薬はプレドニンだが、HLA-B52陽性ではステロイド抵抗性を示すとされる。減量後も寛解を維持できる症例は34%であった。免疫抑制薬も使用されるが、その有効性は明らかではない。免疫抑制剤によっても再燃を繰り返す症例では、インフリキシマブ・トシリズマブなどの生物製剤が使用され、従来の薬剤より高い寛解導入が期待できる。

参考:血管炎症候群の診療ガイドライン(日本循環器学会)
   高安動脈炎の新しい診断法と治療法(日内会誌第103巻第9号P2131-2137)