未分類

脳梗塞に対する抗血栓療法

最近、脳梗塞の分類にはTOAST(The Trial of Org 10172 in Acute Stroke Treatment)分類が用いられることが多い。
・アテローム血栓性脳梗塞(脳主幹動脈の50%以上の狭窄に起因)
・心原性脳塞栓症
・ラクナ梗塞(直径1.5cm未満の穿通枝領域の梗塞)
・その他の原因(動脈解離、アミロイド血管症、血管炎など)
・原因不明(2つ以上の原因、異常所見なしなど)

〇アスピリンvsワルワリン
 頭蓋内動脈高度狭窄
 再発予防効果は同等
 ワルファリンで出血合併症・死亡が多い

〇心原性脳梗塞
 アスピリンに予防効果なし

近年、わが国の脳卒中による死亡に占める脳出血の割合が増加している。1970年代から順調に低下していたが、2011年に再上昇しており、抗血小板薬や抗凝固薬の処方の増加が関与している可能性がある。

抗血小板薬のエビデンスとしては、アスピリンとクロピドグレルを比較したRCTや、アスピリンとシロスタゾールを比較したRCTがあり、下図の左側がアスピリンvsクロピドグレルで、右側がアスピリンvsシロスタゾールである。
comparison

アスピリンとクロピドグレルではクロピドグレルでイベントが少ない傾向にあるが統計学的有意差なし。一方でシロスタゾールではアスピリンに比し、心血管イベント、脳卒中、出血性脳卒中を有意に抑制していた。しかも、このデータは出血リスクの高い中国・日本からでたものである。

日本人ではアスピリン内服時の頭蓋内出血のリスクが、欧米人に比べて高い。クロピドグレルでもその傾向があるが、75歳未満かつ体重50kg以上に限れば、頭蓋内出血は増えないと考えられる。75歳以上で体重50kg未満ならクロピドグレル75mg/日ではなく、50mg/日に減量する選択肢もある。
bleeding

参考・引用:脳梗塞再発予防-日本人にとって最適な抗血栓療法とは(日内会誌第103巻P2252-2260)