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CTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)講演会まとめ(2014.10.25)

CTEPHの講演会のまとめ
CTEPH Clinical Conference Tokyo(2014.10.25)

・定義
器質化血栓により、肺動脈が狭窄・閉塞し、平均肺動脈圧(meanPAP)25mmHgを超えるもの。
PHの臨床分類(ニース分類)
第1群:肺動脈性肺高血圧症(PAH)
第2群:左心性心疾患に伴う肺高血圧症
第3群:肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症
第4群:慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)
第5群 詳細不明な他院氏のメカニズムに伴う肺高血圧症

meanPAPが30mmHgを超えると、予後は悪い。
prognosis
CHEST 2001 ;119:820

・疫学(日本のレジストリ)
欧米では性差はないが、日本では女性に多い(約7割)。若年では男性に、年齢が上がるにつれ女性が多い。患者の平均年齢は60代。欧米では7割にacutePE(急性肺塞栓症)の既往があるが、日本人では1-2割程度と少ない。

・リスク
PEの既往、心シャントペースメーカ感染、摘脾、凝固異常(リン脂質抗体症候群など)、多血、透析、精神疾患(うつ傾向)

・症状
労作時の息切れ。安静時エコーが正常なこともある。なので、労作時の息切れを訴え、COPDや心不全がない場合には、CTEPHを鑑別に上げなければならない。6分間歩行試験(6MWT)でdesaturationがないかどうかをみること。

・診断
V/Qscan(肺換気血流シンチ)が診断に有用。V/Qscanが正常なら本疾患は除外できる。非侵襲的検査の中では最も診断率が高いと言える。CTEPHの確定診断は、肺動脈造影(PAG)または造影CTで、pouch defects, webs and bands, intimal irregularities, abrupt narrowing, CTOの所見を認めること、また右心カテーテル検査にて、肺動脈圧の上昇(meanPAP 25mmHg以上)、肺血管抵抗上昇(PVR 240dyne・sec・cm-5以上)、肺動脈楔入圧(PCWP)は正常であることの証明。

末梢病変の評価は造影CTではできない。
診断の精度としては、選択的PAG > PAG > V/Qscan > 造影CT

・PAG
pig tailかバーマンカテーテルを用いて、正面と側面あるいはローテーションさせてで撮影する。怪しければ、CAG用カテやガイディングを用いて選択的に造影する。

鑑別疾患 多発性肺動脈狭窄(中枢より数珠状の狭窄)、高安動脈炎など

・PEA(Pulmonary Endarterectomy:肺動脈内膜剥離術)
治療アルゴリズムは以下の通り。
algorithm
JACC 2013;62:D92
適応:mPAP30mmHg以上、PVR300dyne・sec・cm-5以上、NYHAⅢ以上、重篤な合併疾患なし、到達可能な中枢側病変
周術期死亡率 5-10%と、良くなってきている。PVR 1200以上ではsmall vessel diseaseも併存しており、手術成績は良くない。