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PCSK9阻害薬エボロクマブ(レパーサ®︎)のLDLコレステロール低下効果

Efficacy and Tolerability of Evolocumab vs Ezetimibe in Patients With Muscle-Related Statin IntoleranceThe GAUSS-3 Randomized Clinical Trial
JAMA. 2016;315(15):1580-1590.

《要約》
重要性
筋肉に関連したスタチンの不耐性は5−20%で起こることが報告されている。

目的
スタチンの再導入により、筋肉の症状を訴える患者を同定することと、非スタチン療法であるエゼチミブとエボロクマブの脂質降下の効果を比較すること。

デザイン、セッティング、患者
LDLコレステロールのコントロールが不十分で、2つ以上のスタチンが不耐性である患者511例に対し、2段階の無作為化試験を行った。登録期間は2013年から2014年である。phaseAは、24週のクロスオーバー試験で、アトルバスタチンとプラセボを用い、アトルバスタチンのみで筋肉の症状がでること確認する。phaseBでは、phaseAから2週間のウォッシュアウト期間を設け、エゼチミブとエボロクマブに割り付け、24週間内服する。

介入
phaseA:アトルバスタチンとプラセボ
phaseB:エボログマブ420mg皮下注とエゼチミブ10mgに2:1に無作為化する。

アウトカム
LDLコレステロールの変化率。ベースラインから22と24週の平均値、ベースラインから24週のcoprimary endpointである。

結果
phaseAに入った491例で、平均年齢60.7±10.2歳、女性246例、冠動脈疾患170例、平均LDLコレステロール212.3±67.9mg/dlであった。筋肉の症状がプラセボではみられずアトルバスタチンでみられたのは209(42.6%)例であった。これらの症例のうち199例と、CKが上昇した19例の218例がphaseBに入り、エゼチミブ群に73例、エボロクマブ群に145例、無作為に割り付けられた。平均LDLコレステロールは219.9±72mg/dlであった。エゼチミブ群では、22週と24週でのLDLコレステロールの平均値は183.0mg/dl、平均LDLコレステロール変化率は−16.7%(95%CI:-20.5%to-12.9%)、変化の絶対値は−31.0mg/dlであった。エボロクマブ群では、22週と24週でのLDLコレステロールの平均値は103.6mg/dl、平均LDLコレステロール変化率は−54.5%(95%CI:-57.2%to-51.8%)、変化の絶対値は−106.8mg/dlであった(P&;t;0.001)。エゼチミブ群では、24週でのLDLコレステロールの平均値は181.5mg/dl、平均LDLコレステロール変化率は−16.7%(95%CI:-20.8%to-12.5%)、変化の絶対値は−31.2mg/dlであった。エボロクマブ群では、24週でのLDLコレステロールの平均値は104.1mg/dl、平均LDLコレステロール変化率は−52.8%(95%CI:-55.8%to-49.8%)、変化の絶対値は−102.9mg/dlであった(P<0.001)。22週と24週でのLDLコレステロールの平均値の群間差は、変化の絶対値−37.8%、変化の絶対値−75.8mg/dlであった。24週でのLDLコレステロールの群間差は、変化の絶対値−36.1%、変化の絶対値−71.7mg/dlであった。筋肉の症状はエゼチミブ群で28.8%、エボロクマグ群で20.7%で認めた(log-rank P=0.17)。薬剤を中止したのは、エゼチミブ群で5/73例(6.8%)、エボロクマブ群で1/145例(0.7%)であった。

結論
筋肉に関連したスタチンの不耐性がある患者において、エボロクマブはエゼチミブと比較し、24週でのLDLコレステロール値が大きく減少した。長期の有効性と安全性の評価のため、さらなる試験が必要である。

◇この論文のPICOはなにか
P:筋肉の症状によりスタチン不耐性の患者
I/C:エゼチミブ10mg1日1回内服、エボロクマブ420mgを月に1回皮下注
O:LDLコレステロールの変化率(ベースラインから22と24週の平均値、ベースラインから24週)。

inclusion criteria:18−80歳、スタチン不耐性(アトルバスタチン10mgと他のスタチンをどの容量でも。または、3つのスタチンでいずれか1つは最低容量で、その他の2つのスタチンはどの容量でも。最低容量はロスバスタチン5mg、シンバスタチン10mg、プラバスタチン40mg、ロバスタチン20mg、フルバスタチン40mg、ピタバスタチン2mgとする。)、冠動脈疾患患者ではLDLコレステロールが100mg/dl以上であること、2つ以上のリスクがある非冠動脈疾患患者ではLDLコレステロールが130mg/dl以上、リスクが1つある非冠動脈疾患患者ではLDLコレステロールが160mg/dl以上、リスクがない非冠動脈疾患患者ではLDLコレステロールが190mg/dl以上

exclusion criteria:3ヶ月いないに以下の病歴があること。心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈血行再建、脳梗塞。

◇baselineは同等か
LDLコレステロールは両群間で差がなく、220mg/dlぐらい。
characteristics

◇結果
地域:米国、英国、オランダなど複数の国で
登録期間:2013年12月10日〜2014年11月28日
観察期間:24週
無作為化:interactive web-basedまたはvoice recognition systemによる中央割り付け。
盲検化:open-label(phaseAは二重盲検)
必要症例数:phaseBで100例
症例数:phaseBで218例
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:企業が関与(アムジェン社)

result

◇感想
副作用のためにスタチンが投与できない患者に対し、エゼチミブ(ゼチーア®︎)かエボロクマブ(レパーサ®︎)を投与し、LDLコレステロールの変化率をみた試験。エボロクマブがエゼチミブに比べ、有意にLDLコレステロールを低下させた。そうですよね、という結果。PCSK9阻害薬の心血管イベントや副作用などのデータは、これから出てくるはずなので、期待して待つ。