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CVカテーテルは鎖骨下静脈穿刺だと感染リスクが小さいが、気胸のリスクは高い

Intravascular Complications of Central Venous Catheterization by Insertion Site.
N Engl J Med. 2015 Sep 24;373(13):1220-9.

《要約》
背景
中心静脈カテーテル(CVカテーテル)の挿入には3つの部位が使用されるが、それぞれの部位で大きな合併症を起こす可能性がある。

方法
多施設の成人のICUで、非トンネル型中心静脈カテーテルの挿入部位を鎖骨下、内頸、大腿静脈に無作為に割り付けた。主要評価項目はカテーテル関連血流感染症(CRBSI)と症候性深部静脈血栓症である。

結果
3027例に3471カテーテルが挿入された。主要評価項目は鎖骨下、内頸、大腿静脈でそれぞれ、8、20、22イベント発生した(1.5、3.6、4.6/1000カテーテル・日)。対比較では、主要評価項目のリスクは鎖骨下静脈群と比較し大腿静脈群で有意に高く(ハザード比:3.5、95%CI:1.5−7.8)、また内頸静脈群も鎖骨下静脈群と比較し有意に高かった(ハザード比:2.1、95%CI:1.0−4.3)。一方で、大腿静脈群は内頸静脈群と有意差はなかった(ハザード比:1.3、95%CI:0.8−2.1)。三群比較では、チェストチューブを要する気胸は、鎖骨下静脈群で13例(1.5%)、内頸静脈群で4例(0.5%)であった。

結論
この試験では、鎖骨下静脈は内頸静脈や大腿静脈と比較し、CRBSIと症候性血栓症のリスクが低く、気胸のリスクが高かった。

◯この論文のPICOはなにか
P:ICUで非トンネル型中心静脈カテーテルを挿入される患者
I/C:鎖骨下静脈穿刺、内頸静脈穿刺、大腿静脈穿刺
O:CVカテーテル挿入から抜去48時間以内のCRBSIと症候性深部静脈血栓症の複合エンドポイント

inclusion criteria:18歳以上、3つの穿刺部位のうち2つ以上で穿刺が可能(臨床医が判断する)

手順
カテーテル挿入を50例以上経験している医師が、マキシマルバリアプリコーションでCVカテーテルを挿入する。カテーテルはトンネル型や抗菌薬が染み込んだものは使用しない。超音波ガイドは必須ではない。CVカテーテルの位置確認は胸部レントゲンで行う。CVカテーテル抜去の決定は臨床医が行う。抜去後2日間は、深部静脈血栓症の有無を確認するため、超音波検査を行う。

◯ランダム化されているか
中央割り付け方式。web−basedまたはtelephone interactive computerized response systemを用いてランダム化されている。

◯baselineは同等か
同等。
characteristics1
characteristics2

◯結果
result

◯感想/批判的吟味
・企業からの資金提供なし
・open-labelだが、CRBSIの診断は客観的なもの(カテーテルの先端培養と血液培養の一致)

鎖骨下静脈穿刺が最も感染リスクが小さい。だが、気胸のリスクは最も高い。ただ、鎖骨下静脈穿刺でエコーが使用されているのは30%程度しかなく、エコーガイド下でかつ胸郭外穿刺をすれば気胸はもっと減るのではないかと思う。

CRBSIのみでみると、鎖骨下静脈は内頸静脈に比べ多いが有意差はない。機械的合併症を起こさないためには慣れているやり方でやるのが一番だが、ペースメーカでは鎖骨下静脈を穿刺しているのでCVカテーテルの際にも鎖骨下静脈を用いてもいいのかもしれない。