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ヘパリンの投与量(心不全に対する深部静脈血栓症予防)

心不全や心筋梗塞で入院される方は、比較的高齢な方が多い。
そして、心不全は深部静脈血栓症(DVT)のハイリスクでもある。

DVT/PE(肺塞栓症)予防のため、ヘパリンを投与することが多いが、そのヘパリンの投与量はどうするべきなのか。ルーチンに、ヘパリン投与によってAPTTを1.5-2.0倍に延長させるのは、出血リスクが高いのではないかと疑問があった。

日本循環器学会のガイドラインでは、

うっ血性心不全患者は高リスクと見なすが、間欠的空気圧迫法の仕様は静脈還流量が増加し病態増悪が危惧されるため、低用量未分画ヘパリンを選択する。

と記載されている。

「低用量」とは何なのか。

8時間もしくは12時間ごとに未分画ヘパリン5000単位を皮下注射する方法である。

日本人は欧米人と比較し出血しやすい人種であり、体格も小さいので、鵜呑みにはできないが、AHAのガイドラインはどうなっているのか。

AHAのガイドラインでは、心不全は中等度リスクに分類されており、近位部のDVT2-4%にみられ、致死的な肺塞栓症を引き起こすリスクが0.2-0.5%であるとされている。

中等度リスクの場合は、低用量ヘパリンが推奨されており、日本と同様に8時間もしくは12時間ごとにヘパリン5000単位皮下注が推奨されている(日本と同様にというか、日循のガイドラインがAHAから引用しているわけだが)。

僕は、ヘパリン10000単位を持続静注している。ヘパリンの1日の使用量は同量だが、間欠的な皮下注と持続静注で違いはあるか不明。それについてはどちらも記載はなかった。少なくとも、APTT1.5-2.0に延長させる必要はなさそうだ。

参考文献
肺血栓塞栓症と深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(日本循環器学会)
Management Of Deep Vein Thrombosis And Pulmonary Embolism(AHA)