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Impella2.5 vs IABP(非保護左冠動脈主幹部病変 or 三枝疾患 + 低心機能)

Impella2.5とは、大動脈から左室へ挿入し、血液を駆出する補助循環装置である。大腿動脈よりアプローチして、左室まで進める。先端はPigtailになっていて、ちょうど左室造影をするような状態にして置いておくらしい。カテは9Fで、回転式のポンプ部分は12Fとなっていて、最大で2.5l/minのフローが出せるとのこと。

Impella2.5 ABIOMED社

〇PICOはなにか
P:EF≦35%の非保護左冠動脈主幹部病変もしくは唯一開存している冠動脈、またはEF≦30%の三枝病変において
I:Impella2.5使用下でのPCIは(Impella2.5群)
C:IABP使用下でのPCIと比べて(IABP群)
O:30日後のMAEs(major adverse events)が減らせることができるか検証したRCT

ちみにMAEsは全死亡、Q波/非Q波心筋梗塞、脳梗塞、TIA、再血行再建、心臓もしくは血管手術、急性腎不全、治療を要するような手技中の低血圧、CPRやVTに対するDC、PCI失敗。

〇baseline
previousCABG(Impella2.5群:38%、IABP群:28%)と心不全の既往(Impella2.5群:91%、IABP群:83%)がImpella2.5群で有意差をもって多い。ほかは同等。
年齢は68歳ぐらいで、男性が8割。半分がDMで、腎不全は3割程度。EFは24%とかなり低く、SYNTAXscoreは30とmoderate score groupに分類される方たち。

〇ランダム割付されているか
割付方法としては、automated interactive voice response systemを用いられている。実際にどういうものかわからないが、中央割付で電話でやりとりするのだろうか。隠匿化はされているだろう。

〇症例数は十分か
イベント発生率はIABP群で30%、Impella2.5群で20%、power80%、αlevel0.05として、必要症例は654症例と算出されているが、452例(69%)しか集まっていない。

〇盲検化されているか
患者、治療介入者は盲検化されておらず、outcome評価者と解析者は割付を知らない独立した組織が行っている。

〇すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析とPer Protocol解析が行われている。Per Protocol解析といっても、inclusion criteriaを満たしていない症例やexclusion criteriaに該当する症例が除かれているだけなので、Full Analysis Set(広義のITT解析)だと思われる。
登録された452例のうち、IABP群で3例に同意の撤回があり、Impella2.5群でPCIを行う前に1例死亡しているので、448例フォローされている。脱落率は0.9%である。

〇結果の評価
30日後のMAEsは、Impella2.5群:35.1%、IABP群:40.1%で有意差なし。Per Protocol解析でもそれぞれ34.3%と42.2%(P=0.09)と有意差なし。重症例を対象にしているので、やはり症例を集めるのが難しいのか。
MAEsの中では脳梗塞/TIA:P=0.04と有意差がついているものがあるが、そもそもprimary endpointととして差がついていないので、あまり意味はないだろう。